メキシコ水技術庁、気候変動対策を何もとらないと、メキシコでは10年で水危機に陥る可能性があると発表

メキシコ水技術庁IMTAとメキシコ水資源庁CONAGUAが作成した「気候変動によるメキシコの水資源脆弱性図鑑」によると、気候変動対策を今後何もとらないと、約10年で、特に首都圏があるメキシコ盆地で、水不足の危機に陥る可能性があるとされている。

2016年6月28にIMTAが発表したこの図鑑は、国家開発計画及び、気候変動一般法、国家水資源法に従った、2014-2018年国家水資源プログラムの一環としてまとめられた調査書で、気候変動がメキシコの水資源(地表水)や農業の灌漑、水質に与える影響などがまとめらている。メキシコの水資源の脆弱性の現状を知る為の資料として、国家政策の策定に役立てることを目的に作成された。

社会的脆弱性に関しては、全国2456の市町村の脆弱度がグラフで表示され、気候変動対策の実施をどの地域で優先すべきかがわかるようになっている。雨季や熱帯性低気圧対策が最も必要な州としては、ゲレロ州、チアパス州、ベラクルス州、オアハカ州、キンタナロー州が、また旱魃に対して脆弱な地域として、人口が集中しているシナロア州北部、首都圏地域、コンチョス川流域、レルマ-チャパラ川流域北部が挙げられている。

また気候変動は農業生産にもインパクトを与えるものであり、図鑑で示されている特に脆弱な地域を優先して、灌漑の技術化などの緩和措置をとる必要があると指摘されている。気候変動が水質に与える影響に関しては、起こり得る問題点を特定してそれらを予防及び監視する計画を策定し、飲料水の質に与えるリスクの指標を確立するためのガイドラインや手法が提案されている。

尚水技術庁の気候変動特別プログラムには、気候変動の影響を図鑑にまとめることの他に、居住地や生産活動の脆弱性の改善による回復力の強化、重要なインフラ設備の抵抗力の強化、地方レベルでの脆弱性改善能力の強化が含まれている。

「気候変動によるメキシコの水資源脆弱性図鑑」は、以下のサイトから購入可能(西語表記)。
https://www.imta.gob.mx/es/productos/cambio-climatico/efectos-del-cambio-climatico-en-los-recursos-hidricos-de-mexico-vol-iii-atlas-de-vulnerabilidad-hidrica-en-mexico-ante-el-cambio-climatico-detail