米国で雨水利用の企業にストームウォーター処理料金とエネルギー使用量の削減効果をもたらす

民間企業の間で、節水目的で雨水の様々な有効活用設備を設置する動きが増えている。雨水を利用することでストームウォーターの流去水や処理料金を削減することができるだけでなく、飲料水、非飲料水そしてエネルギーに係る諸問題の解決が促進できる。フィラデルフィア市エネルギー調整局のZachary Popkinプログラムマネジャーによれば、民間施設の所有者の間では、ストームウォーター処理料金がどのくらい掛かっているのかコスト意識が高まってきているという。

また、米国雨水集水設備協会(ARCSA)のDavid Crawford会長は、雨水の利用は、屋根から水を捕集して再利用し、それを敷地内で保持する機会となっていて、そのことでストームウォーター流去水の多くを無くすことにつながっていると語る。さらに同会長によれば、米国環境保護庁(EPA)はこの雨水の集水を促進しようとしているという。雨水利用を薦める人々によれば、使用される水の70~80%は非飲料用であるので、水を浄化したり、浄水場から水を汲み上げてまた下水処理場に水を流し戻すために多くのお金とエネルギーを費やしていることは意味がないことという。

ジョージア州にあるRainwater Collection SolutionsのJim Harringtonは、どこでもそうだが、水に係るコストの4060%は水を移動させるために使用されるエネルギーのコストだという。同氏はさらに、「実際、米国ではクリーンで利用可能な水が不足している。皆さんは大量の水無しではエネルギーを得ることはできないし、逆に、多くのエネルギーが無いと水を得ることができない。僕らが米国で利用している水の約60%がエネルギーを得るために、冷却塔や水力発電用に使用されているのです」と述べた。

製造工場は一般に水道事業者の最大の顧客である。例えば、2016年の秋、Pepsiは、製造プラントで水の再利用のための総合的なアプローチを通して自社の水に関する目標を達成しつつあると公言していた。このアプローチとは雨水利用とエバポレーション技術である。
雨水の捕集は施設の所有者がその建物のLEEDなど建設基準面でも推奨されている取組の一つであり、空港ターミナル建設でLEED表彰制度のGoldを最近受賞したBirmingham-Shuttlesworth国際空港(アラバマ州)の場合、水の消費量が減少しただけでなくストームウォーター用排水溝に流入する排水量も減らすことになった雨水捕集の設計が評価された。

上述のARCSAによれば、捕集された雨水の用途は、農業用灌漑から、車の洗車用、水洗トイレ用、公園の水撒き用、そして飲料用と広範囲にわたっているという。
2017年初めには、集水のための雨樋(とい)のメーカーが、人の消費用に雨水が利用できる雨水捕集設備で利用可能との認定を受けている。これは、雨樋メーカーGutterglove Inc.社の雨樋が国立衛生財団(National Sanitation Foundation)によって承認されたものである。

一方で、この雨水捕集には問題点も存在しており、その一つは、その処理に関してである。大手エンジニアリング会社AECOMの水資源担当のシニアエンジニアであるMike Gregory氏は、「流去水にはクリーンな水源もあればきたない水源もある。我々が触りたくない水もあれば、再利用に最適な水もある」と、その水源によって処理が大きく異なる難しさを語っている。なお、ARCSAは州レベルでの雨水利用に関する多くの規則のリストに加え、連邦エネルギー省の技術関連資料を保有している。