米の環境団体、PVCなどによる水質汚染でFormosa Plasticsを提訴

米国でも事業を展開している台湾プラスチック・グループのFormosa Plastics Corp.がテキサス州南部のラバカ湾と周辺水域をポリ塩化ビニル(PVCなどの違法排出によって汚染したとして、環境団体San Antonio Bay Estuarine Waterkeepersと地元住民が2017年7月31日、同社を相手取って合衆国地方裁判所に提訴した。

提訴の内容

訴状によると、Formosa Plasticsはプラスチック・ペレットおよびPVC、分散(特殊)PVC、ならびにその他のプラスチック粉末の混入した雨水および廃水をコックス川とラバカ湾に違法に排出しているという。原告側はこれがテキサス州の汚染物質排出防止システムにもとづくFormosa Plasticsへの許可条件に違反しており、したがって水質浄化法に違反しているとしている。この訴訟で原告側はFormosa Plasticsに対し、5745万ドル(約63400万円)の民事制裁金の支払いと、今後の違法排出の停止、およびすでに発生した汚染の浄化を求めている。この5745万ドルというのは、水質浄化法のもとで科せられる1日あたりの罰金額10万4828ドル(約1148万8000円)の548日分にあたる。

訴状で汚染源とされているのは、Formosa Plasticsがサンアントニオの南東にあるポイント・コンフォートで操業している敷地面積2500エーカーのプラスチック製造工場である。同工場が違法に排出しているとされるプラスチック・ペレットは、1992年の環境保護庁(EPA)の報告によると環境に最長10年間残留するという。

なお、被告のFormosa Plasticsは、まだ訴状が届いていないが、訴状の検討後も、進行中の訴訟についてのコメントは差し控えるとしている。

地元のボランティアが汚染サンプルを集める異例の展開

この種の水質汚染事件は通常、企業がみずから違反を申告し、規制当局や市民団体がその情報を使って取締りをしたり訴訟を起こしたりする。しかし、今回のFormosa Plasticsの場合は地元のボランティアが水のサンプルを集め、そこで得られたデータにもとづいて訴訟が提起された。ボランティアたちは、2016年1月31日以来、工場近くの水辺から1600個を超えるペレットを採取したという。