南オーストラリア州の雨水利用技術、中国で大きな需要

南オーストラリア州の6社の共同事業体、Australia China Sponge City Consortiumが、中国における海綿都市(スポンジ・シティ)――街全体で雨水を吸収・利用する都市――の実現をめざし、山東省の省都である人口およそ1000万の済南市に事務所を開設した。この共同事業体は、雨水利用と帯水層涵養管理のパイロット・プロジェクトを2017年7月に開始する。

共同事業体を構成するSyntec Global、Alano Water、Water Data Services、Aqueon、Hassell、およびAustralian Water Environmentsは、海綿都市の設計、建設、および運営に関するそれぞれの経験を南オーストラリア州の州都であるアデレードに持ち寄り、中国における20億米ドル(約2200億円)超の海綿都市プログラムにオーストラリア企業としては初めて参入する

州の水と環境の行政幹部らが中国を訪問

南オーストラリア州環境・水・天然資源局(DEWNR)のSandy Pitcher局長、同州の水セキュリティ大臣だったKarlene Maywald、およびDEWNRのSteve Morton都市水道部長をはじめとする水と環境を担当する行政官らの一行が、2017年5月に山東省、上海、および香港を訪問した。現地では第1回の南オーストラリア・済南海綿都市運営委員会がひらかれ、Sandy局長が委員長を務めた。その席でSandy局長は、南オーストラリアについての中国の関心はいまや、食品やワインをはるかにしのいで、環境面での持続可能性という新たな観点から、グリーン・エネルギー、カーボン・ニュートラル、自然観光、それに水管理に向けられているとした上で、つぎのように述べた。

「済南市の行政のみなさんはこのパイロット・プロジェクトに深くかかわっており、南オーストラリアのもつ水管理の専門的知見を輸入することにきわめて熱心だ。DEWNR、共同事業体、それに済南市商務局が、市長とともに2、3ヵ月のあいだに合意書の文案を練り、その後、正式な契約調印がなされてパイロット・プロジェクトが本格的にスタートするだろう。
これは、州にとって、またわが州の水ビジネスにとってほんとうに大きなことだ。われわれが雨水対策を進めていくなかで培ってきた水業界と行政の専門的知見は、いまや国際的に求められているものだ。
南オーストラリア州と、人口1億の山東省とは、30年前から姉妹関係にあり、こうしたことも今回の共同プロジェクトへの道をひらく要因となった。また、DEWNRは過去12ヵ月間、済南市との関係強化に努めてきた。昨年の9月には、南オーストラリア州は山東省からの代表団を迎え入れ、成功を収めたいくつかの雨水プロジェクトを見ていただいた。
すでにわれわれは、そうした雨水プロジェクトの春の祭典に招待されており、また、山東省のほかのいくつかの市からもプロジェクトのプレゼンテーションを求められている。そういうわけで、これが将来どこまで発展していくのか、だれにもわからない状況だ」