タイ、複数の産業別の排水基準案を検討中――まずは淡水化事業と皮革なめし業で制定される見込み

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2017年9月15日付けの現地からの報告によると、タイ天然資源環境省(MNRE)の公害管理局(PCD)は現在、汚染度の高い産業を対象に、産業別の排水基準案の策定作業を進めているという。対象となる産業には澱粉、繊維、バルプ・製糸、皮革なめし、石油化学、淡水化(desalination)など幅広い分野が含まれる。

国家環境委員会は、2017年9月6日に開催された本年第3回会合の中で、PCDが提出した「淡水化事業」および「皮革なめし業」向けの排水基準を承認した。今後、これら2つの基準案はMNREに送られ、2017年9月中にはMNREの最終的な承認を得て、2017年12月末までには官報告示される見込みである。淡水化事業に関する具体的な基準値を以下に示す。

項目 基準値
pH 6 – 8.5
濁度 100 NTU
ケルダール窒素 10 mg/l
沈殿性物質 2 ml/l
遊離塩素 0.1 mg/l
取水速度 0.1 m/s

淡水化事業向け基準としては、数値基準の他に、以下のとおり遵守するべき管理実務についても規定しており、これはタイの従来の水質基準には無かった特徴である。

  • 海水の取込パイプへの体長5mm以上の水生生物の進入を防止する装置を設置しなければならない
  • 管理手法として、排水口の使用、中央排水処理施設までの排水の移送、および冷却水とあわせた排水の排出の3つを指定する
  • 最終的な排出地点から半径100mを混合ゾーンとして指定する
  • 混合ゾーンにおけるpHおよび衛生水準は、自然水準から5%を超える変化があってはならない

次に、皮革なめし業向けの水質基準は以下である。

項目 基準値
pH 6 – 8.5
温度 40 oC
300 ADMI
総溶解固形物(TDS)    排出先の水のTDS値+5000 mg/l
SS(浮遊・懸濁物質) 50 mg/l
硫化物 1 mg/l
油脂分 5 mg/l
ケルダール窒素(TKN) 100 mg/l
生物化学的酸素要求量(BOD) 50 mg/l
化学的酸素要求量(COD) 250 mg/l
フェノール化合物 0.5 mg/l
六価クロム 0.1 mg/l
総クロム 0.8 mg/l
総リン 2 mg/l

なおこれらの新たな排水基準が施行されれば、過去20年間使用されてきた従来の基準を置き換えるものとなる。今後5年間、環境負荷管理など新たなコンセプトを盛り込んだ産業別排水基準がさらに策定されるとみられている。

EnviXコメント
これまでは単一の基準を使用して全ての工場の排水を規制していたが、今後は業種ごとに異なる基準が要求される予定である。また、上記の淡水化事業の新たな規制にあるように、具体的な数値基準だけでなく、特有の管理項目も設定される予定である。タイにある観光向けの多くの島嶼では淡水のニーズがあり、また、将来の水不足への対策としても淡水化事業への必要性は増すものと考えられることからも、今回の新たな基準策定は重要と言える。

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