サウジアラビア、紅海周辺に9つの淡水化プラントを建設する意向

2018年1月21日に現地で報じられたところによると、サウジアラビア政府が20億サウジアラビア・リヤル(約580億円)を投じて紅海沿岸に9つの海水淡水化プラントを建設する意向であるという。これは、環境水農業省のAbdulrahman Al-Fadhli大臣が明かしたものであり、同大臣のTwitterによれば、これらのプラントは処理量が24万m3/日で18カ月以内に完成するという。

Fadhli大臣によれば、サルマン国王の命令により実施されるこのプロジェクトは、国営企業であるサウジアラビア海水淡水化公団(SWCC:Saudi Saline Water Conversion Corp)の生産効率向上と、運営コストの削減を後押しするものとなるという。サウジアラビアは現在、世界で最も多くの海水淡水化を行っている国である。SWCC のツイートによると、同国における海水淡水化量は2017年の1年間で100万m3/日も向上し、2017年末には合計500万m3/日に達したという。この100万m3/日という量は、100億サウジアラビア・リヤル(約2900億円)規模の淡水化プラントに相当する量である。

サウジアラビア政府は、2030年までの経済改革計画「Vision 2030」の中で、戦略的パートナーシップを通じて淡水化の割合を増やすことで、民間企業との連携の機会を増やしていく計画を示している。こうした計画の下、2016年SWCCは、2025年までに約800億ドル(約88000億円)規模の投資(入札)を行い、海水からの淡水生産量を850万m3/日にまで引き上げると発表した。

こうした計画の下、サウジアラビアは複数の先駆的なプロジェクトを打ち出している。世界で初めての太陽光発電による海水淡水化プロジェクトAl Khafjiはその一つである[1]。1億3000万ドル(約142億円)規模の本プロジェクトは、サウジアラビア公共投資基金(PIF:Public Investment Fund)の技術部門である Taqniaの子会社、Advanced Water Techologies社とスペインの再生可能エネルギー会社Abengoaとの合弁会社が進めるものであり、6万m3/日をAl Khafji市に供給することとなる。

サウジアラビア政府は2016年、官民パートナーシップ(PPP)の枠組みを使用して、国内外の企業とともにインフラプロジェクトに投資をしていくと述べている。その第一弾は、2017年8月に発表された紅海の50の島々にリゾートを開発するプロジェクトである。PIFの資金により実施される第1フェーズは2022年第4四半期までに完成するという。

[1] EWBJ53号に関連記事あり「Abengoa、サウジアラビアで世界最大級の太陽光による海水淡水化プラント建設

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