オランダ国立研究所、飲料水の水質確保のため地下水の水質評価方法の改善を提案

オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)が2018年1月18日、地下水の水質評価をより良いものにするオプションを政府に勧告した(以下のURLに、報告書『実効性ある地下水水質評価の枠組み:オランダ環境・計画法に基づき地下水の水質を評価するための基準とツール』)。RIVMはオランダ厚生省傘下の政府機関。
http://www.rivm.nl/dsresource?objectid=5bfcd33a-5116-4ff4-b7d6-29fc6ee68568&type=org&disposition=inline

オランダの地下水には、有害な化合物が含まれている場合がある。地下水の水質確保は現在、オランダの土壌保全法の要求事項となっているものの、環境・計画法の要件にはなっていない。しかし政府は今後、同法を改正して、地下水の品質確保に対する要求事項を盛り込む予定である。そのため関係各機関が、地下水水質の管理に関連するルールを見直しているところである。そこでRIVMは今回、地下水の水質評価の枠組みを改定するいくつかの勧告を提示した。以下の勧告は、このような論議と今後の意思決定のために貢献するねらいがある。

  1. EU水枠組み指令の目的と義務をオランダが確実に果たす観点から、地下水の水質評価方法をアップデートし、水質評価の枠組みをより良いものにすべきである。そのため、地下水水質評価基準の枠組みを最新化し簡素化を図るべきである。
  2. 土壌や地表水など、地下水に隣接した環境フィールドの基準に基づく化学物質リストは、互いに整合性に欠ける。地下水および隣接環境分野の化学物質評価基準の調和を図るべきである。
  3. 飲料水保全区域における地下水の水質評価にもっと重点を置くべきである。とくに、飲料水を採水する区域の地下水の水質評価を重視すべきである。その際、地下水の化学的品質を評価するため、新しいモデルを開発する必要がある。現在提案されている水質評価法の1つにGRADE(Groundwater Risk Assessment near Drinking Water Extractions)モデルがある。これは飲料水を採水する際、汚染リスクを計算する方法であり、現在開発途上にある。飲料水採水に関連する水質要件だけでなく、地下水中で化学物質がどの程度希釈され、また分解されているかも考慮に入れた方法である。
  4. 地下水近隣の採水区域に適用されている基準と、地下水汚染を低下させるため土壌管理団体が運用している基準が異なっている。そのため、地下水保全区域では現在、さまざまな問題が発生している。GRADEモデルを採用すれば、こうした問題を解決できる可能性がある。
  5. 関係政府機関と綿密に連携して、以上のオプションを検討するとともに、GRADEモデルの開発をさらに進め、妥当性を検証するようオランダ政府に勧告する。