メキシコシティ市議会、上下水事業を含む、持続可能な水資源管理法案を承認。水の民営化につながる内容に批判あり

メキシコ市議会は2017年11月24日、「持続可能な水資源管理法案」を賛成36票、反対15票で承認した。法案は、現在市が管轄する上下水管理機関Sacmexを、独自の資金で運営する法人組織とし、組織は水道料金を独自に決めて市議会に提案する権限を持つことを認めるものとなっている。また同法案では、2期以上水道料金支払いを滞納した場合のサービス停止も規定されているが、一人当たり一日に必要な最低限の50リットルの供給は保証される。その他、雨水利用を奨励するため、雨水を確保する個人や法人、団体へのインセンティブを提供する基金創設も規定されている。

新しい組織の運営は、市長局、建設局、保健局、都市開発局、農村開発局、財務局、科学技術局、都市管理局、環境監査局、土地整備局の代表から成り理事会が行い、環境局が代表を務める。また組織の資金の使途やプロジェクトは、水管理の専門家や学会、社会団体代表10名から成る技術委員会に提案して検討される。

法案は1年以上にわたって審議されてきたが、この法案は上下水サービスの民営化につながるとして反対する議員や、民営化が明文化されてはいないものの民営化への扉を開くものだとして反対する議員がいた。また上下水インフラへの大型投資は、行政管轄の方が公開入札など透明性を保って低額で実施できるはずだとの意見や、同法が影響を与えるメキシコシティ南部の井戸を使用している原住民居住地区での、パブリックコンサルテーションを事前に実施すべきだという意見も出されていた。

メキシコシティでは、住民の18%が飲料水の供給を毎日受けておらず、32%の住民は飲料水ボトルによる補給が必要となっている。また上下水インフラは50年以上の古いものとなっており、40-50%の水が漏水で喪失し、排水の27%しか処理されていない。持続可能な水管理法により、こうした問題が改善されることが期待されると、市政府は強調している。

持続可能な水資源管理法案は、以下のサイトからダウンロード可能(西語表記)。
https://agua.org.mx/wp-content/uploads/2017/06/Gaceta-Iniciativa-Ley-Sustentabilidad-Hi%CC%81drica-Ciudad-de-Me%CC%81xico-2016.pdf

タグ「, , , 」の記事:

2020年7月10日
台湾環境保護署、「水汚染防止法事業分類および定義」の改正を公告――オイル貯蔵場や貯蔵施設の分類・定義を改める
2020年7月9日
米カリフォルニア州政府、飲料水中のマイクロプラスチックの定義を発表
2020年7月9日
米EPA、飲料水中の過塩素酸塩を規制しない方針を最終決定
2020年7月8日
ベトナム、水資源開発や排水の許可承認に関する手数料を暫定的に減額する通達を制定
2020年7月7日
ベトナム、水資源分野の違反に対する罰則を定める政令を制定