中国における海綿都市の動向、2017年には様々な取組みが進む

2013年、中国国家指導者習近平主席が中央都市化会議で海綿都市[1]建設を提唱して以来、関連政策が続出し、中国各地では海綿都市建設モデル事業が実施されてきた。2018年2月上旬に中国ネット「環保網」が掲載した「2017年、中国における海綿都市の動向」によれば、特に、2017年には前半だけでも、次のような様々な取組みが見られた。

  • 2017年2月24日、中国住宅城郷建築部が海綿都市計画づくりと建設座談会を開催。関係部門の責任者及び園林と給排水関係専門家が列席した。
  • 2017年3月5日、海綿都市に関する内容が初めて「政府活動報告書」に書き込まれた。具体的には、「都市地下総合管廊2000キロ以上を建設し、都市部では冠水の発生しやすい場所の排除3年行動をスタートし、海綿都市建設を推進する」という計画である。
  • 2017年3月6日、住建部は「生態修復都市修繕作業に関する指導意見」を公布し、各地が生態修復特別計画を制定し、都市部緑地システム、水システム、海綿都市などの特別計画を統合し、水系汚染対策と修復を展開すべきと要求した。
  • 2017年4月、財政部、住建部と水利部は中央財政支援の海綿都市建設モデル事業2016年実績評価を実施し、総合ランキングを作成した。
  • 2017年5月、中国初の国家レベルのインフラ整備計画である「全国都市部インフラストラクチャー整備第13次5ヵ年計画」が公布。海綿都市について、第13次5ヵ年期間において都市部黒臭水系対策に取り込み、水汚染防止を強化し、排水と水害防止システムを構築し、「海綿都市」の建設を推進すると規定している。

また、各地で実施されている主な海綿都市建設の状況について、次のように報じている。

  • 総投資額7億元に及ぶ甘粛省慶陽市海綿都市PPP見本事業は、中鉄二十一局グループが代表者で首創股份、華龍証券が共に参加する共同事業体が落札した。建設期間は3年間で、運営期間は20年間と計画されている。また、総投資額39.62億元に及ぶ3つの匯水分区PPP事業はそれぞれ、中国建築股份有限公司、中冶天工集団有限公司、北京首都股份有限公司が代表者として共同事業体で落札した。
  • 総投資額が2億元に及ぶ遼寧省大連市庄河市海綿都市PPP事業は、中国建築股份有限公司が落札した。同PPP事業は道路敷設、公園緑地、水環境整備など46プロジェクトを含み、建設期間が2年間で、運営期間が15年間と計画されている。
  • 青島市海綿都市モデル区建設PPP事業は総投資額が24億元に及び、計3つの小事業に分けられ、それぞれ北京建工グループ、北京桑徳環境、環能科技を代表者とする共同事業者が落札した。

[1] 「海綿都市」とは、関連インフラ事業の整備により都市がスポンジ(海綿)のように環境変化と自然災害に「弾力性」を備え、降水時には吸水性を発揮し水資源を貯留できると同時に、貯留された水を必要な時に放出し再利用できるという意味合いから、中国で提出された独特なコンセプトである。