ガーナの無収水率は国際的な平均の2倍以上――早急な対策が必要

2018年10月25日に現地で報じられたところによると、在ガーナドイツ商工会議所(AHK)がガーナの水産業の現状についての調査報告書を発表し、同国の無収水率は国際的な平均の2倍以上であると報告された。さらに同国の無収水率は、低所得国グループの33%をも上回っていた。この報告書“Access To Clean Drinking Water & Sustainable Water Management In Ghana”は、AHKがドイツ連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)の支援を受けて作成したものである。

全52ページある報告書の内容を一部、以下に抜粋して示す。

  • ガーナ水公社(GWCL:Ghana Water Company Limited)は、配水と無収水対策の面で業務が非効率的である。
  • 2008年から2012年までの無収水率および水道代金の回収率を調べたところ、同国の無収水率は平均して50%と国際的平均値の2倍以上であった。また、低所得国グループの値(33%)をも大きく上回っていた。
  • 同じ期間の水道代金の回収率は平均して95%であり、比較対象の低所得国グループの96%、中所得の国グループの2%を下回っていた。
  • ガーナで無収水率が高い理由として、次の2つが考えられる:1) 配水インフラの老朽化とメンテナンス不足、2) 配水管網からの窃盗(袋詰めした浄水「サシェ・ウォーター」の製造業者への転売目的など)
  • GWCLの業務の効率に影響し、ひいては最適でない水道サービスの提供につながっている要因として、不安定な電力供給、権利侵害、小規模な金の違法採掘(galamsey)、補償金の支払い遅延、給水の制限とそれが配水設備に与える影響、そして膨らみ続ける顧客の負債などが挙げられる。
  • 農村部および小規模な町の住民の38%が現在も飲料水の提供を受けていない
  • 農村部や小規模な町における水施設の運営・維持管理の責任は地元のコミュニティが負っているものの、水質の監視とインフラの大規模な修繕についての責任の所在は明確になっていない。
  • 農村部や小規模な町における水道設備の12%から20%は機能していないか、またはその機能が所定の基準を下回っていると推定される。
  • ガーナ政府には、無収水の問題を解決し、生産・配水した水からの収入を最大限に回収することが求められる。
  • ガーナ政府は、都市部周辺の地域や低所得地域の水道サービスの向上に取り組んでいるものの、取り組みは十分でなく、より一層強化する必要がある。

なお、ガーナの水産業が直面する上記の問題を解消するべく、AHKはBMUBの支援の下、2018年11月13日にワークショップを開催する。このワークショップは、ガーナとドイツ両国の専門家を集め、問題解決のための具体的な施策を検討するものであり、ガーナにおける持続可能な水管理と無収水問題に関する戦略ペーパーも作成される予定である。

本報告書は以下から閲覧可能。
https://ghana.ahk.de/fileadmin/ahk_ghana/Documents/Access_to_Clean_Drinking_Water___Sustainable_Water_Management_in_Ghana.pdf

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