スペイン・カナリア諸島のテネリフェ島、処理された水の再使用に過去30年間で2億2100万ユーロ投資――今後は脱塩処理の改善を目指す

スペイン領のカナリア諸島で一番大きな島であるテネリフェ島では、過去30年で処理された水の再利用に22100万ユーロが投資されていることが、2019年3月16日にテネリフェ島の汚水処理プラントで行われた、テネリフェ島水評議会が開催した会合で発表された。テネリフェ島では、初期に6000万ユーロ投資され、2000年代に入って2000万ユーロに落ち込んだものの、現在5100万ユーロ以上が水の再使用を完成する為に使われており、世界の水の再使用におけるパイオニアの一つとなっている

テネリフェ島の水道公社のBaltenの元部長によれば、公社は1993年からラ・ラグーナ大学と共に、処理された汚水の再使用の調査と改善に227万ユーロ投資している。処理された汚水の再使用を始めたのは1981年であり、1979年に建設された最初の浄水プラントは老朽化しているが、近く行われる拡張工事では水の再使用に向けた浄水システムが改善される予定となっている。

同氏によれば、処理された汚水の再使用にあたっては、同時に脱塩処理への投資も必要である。処理された汚水を使用する農民からは塩分が高いとの苦情がでており、この点が課題となっている。島の脱塩処理プラントは現状不足しており、脱塩処理も含めた浄水プラント全体の改善が計画されている。現在脱塩処理されているのは再使用できる処理水の60%のみであり、2008年からは雨水、2017年からは淡水化された海水と混ぜて使用する状況となっているが、再使用される水は100%浄化されている必要がある。

ラ・ラグーナ大学の化学学部教授によれば、テネリフェ島の処理された汚水の再使用は米国のカリフォルニアやイスラエル、オーストラリアにも劣らないものであり、30年前から世界の最新技術と共に歩んできた。現在の課題は、処理された汚水を人の飲料水として再利用することであるが、この為には当局の情報公開が不可欠であると指摘している。

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