米ハワイ州、太陽光発電脱塩プラントの建設・運用に向けた事業目的別歳入債券の発行を検討

米ハワイ州議会では現在、ハワイ島における太陽光発電脱塩プラントの建設及び運用に向けて、事業目的別歳入債券(special purpose revenue bond)を発行する権限を州政府へ付与する州法案が議論されている。

州法Senate Bill 1440は、最大1億ドル(約1110億7670万円)に上る事業目的別歳入債券を発行する権限を、ハワイ州予算歳出局(Department of Budget and Finance)に対して付与する。同債券の発行を通じて、脱塩施設開発業者Trevi Systems及び水道事業者Kona Coast Waterを財政支援し、100%再生可能エネルギー(太陽光発電)を活用した脱塩施設を2か所またはそれ以上建設、脱塩水(淡水)をハワイ島や可能性として他の諸島に居住する顧客へ供給する。事業目的別歳入債券を通じて州政府は、公共の利益に当たる既存民間インフラの更新へ財政支援を行うことが可能となる。同債券は、公的資金ではなく民間投資家が購入する。

同州法案は、オアフ地区選出のGlenn Wakai州上院議員(民主党、オアフ地区選出)及びMichelle Kidani州上院議員(民主党、オアフ地区選出)、Dru Kanuha州上院議員(民主党、コナ・カウ地区選出)が州議会へ提出し、共同創案者は合計9名に上る。同法案は、州議会歳入委員会(Committee on Ways and Means)へ送付され、一部修正後、賛成11票、反対0票にて2月20日に通過した。修正内容の詳細事項は2月22日午後の時点で公開されていない。現在州議会本会議の承認待ちの段階にある。仮に同州法案が上院本会議にて可決された場合、州下院議会へ送付、検討が開始される。Kanuha州上院議員は、「太陽光発電搭載の脱塩施設は、我々がNatural Energy Laboratory of Hawaii(NELHA)に対して研究開発を望んでいる革新的なプロジェクトである。NELHAは、低廉且つ効率的な手法で脱塩水の生成分野において世界の先駆的存在になることに期待を寄せている」と述べた。

Kona Coast Waterマネージャー兼Trevi Systems取締役のThomas H. Birdsall氏は、「大量のエネルギーを必要とする従来の逆浸透法脱塩システムと比較して、ごく僅かなエネルギーを用いて海水を脱塩化する、正浸透法(FO)を活用した先駆的な特許技術をTrevi Systemsは有している」と述べた。歳入債券から得られた資金が充当して建設される脱塩プラントは、Kailua-Koa地区北部に位置するNELHAへ賃貸される土地に、1日当たり最大6000m3に及ぶ海水淡水化を行う能力を有する脱塩プラントが建設される。Trevi Systemsは既に、脱塩プラントで生成された脱塩水を販売する、同サイトの近郊や周辺に位置する潜在顧客を特定している。同プラントは、2030年までに1日当たり1億ガロンに上る淡水を追加的に供給するというニーズを満たす州政府の目標達成を支援する。

NELHA事務局長を務めるGreg Barbour氏は、昨年6月に連邦政府資金200万ドル(約2億2353万円)の獲得を発表した公式会見にて、「同プロジェクトは様々な理由からNELHAにとり非常に重要である」と述べた。同氏は続けて、「まず第一に連邦政府からの資金調達は、低コストな脱塩技術の市場化を支援する。二番目に、我々はKeahole太陽光発電所の跡地を有効活用する方法を検討しており、同プロジェクトはそのサイトに立地する全ての既存インフラを活用できる。最後にNELHAは、同プロジェクトを通じて農業用水として利用する大量の淡水を生成するほか、Hawaii Ocean Science and Technology Park(HOST Park)にて新規インフラ施設を建設することで、既存の飲料水に関する問題を解消する」と述べた。

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