Suez Environnement、スペイン投資会社Criteria Caixaholding社とのパートナーシップを強化――スペインおよびチリでの地位向上を目指す

2014年7月18日に、仏Suez Environnement(スエズ社)はスペインの大手投資会社Criteria Caixaholding(la Caixaグループの100%子会社)と基本契約を締結し、スペインの水・環境サービス企業、AGBAR社の株式(24.14%)を取得すると発表した。これまでスエズ社はAgbar社株式の75.35%を保有しており、今回の取引によりAgbar社をほぼ完全子会社化することとなる。一方で、la Caixaグループはスエズ社への投資を強化し、株式の保有割合を最大で7%にまで引き上げる意向を表明している。

資本の強化と株式保有の合理化、南欧・南米におけるプレゼンス向上を意図

スエズ社はこの取引には以下のメリットがあるとしている。

  • la Caixaグループがスエズ社の2番目に大きい株主となり(1位は仏エネルギー大手GDF Suez、35.7%)、株式保有体制が強化される
  • スペイン、チリの水分野におけるポジションが向上する
  • 少数株主持分を減らすことで、グループの体制を合理化する

スエズ社は、AGBAR 社の24.14%の残りの株式を購入するにあたって、la Caixaグループに対して新規発行株式2200万株(資本の4.1%に相当)および現金 2億9900万ユーロ(約409億円)を支払う(支払い完了時期は2014年9月末見込み)。

またこれと並行して、la Caixaグループはスエズ社から受け取った現金で以下を取得する。

  • AGBAR社から、バルセロナ首都圏に上下水サービスを提供しているAigües de Barcelona社*1の株式の15%を購入する
  • スエズ社から、Aguas de Valencia社の株式の14.5%を購入する
  • スエズ社の発行済み株を買い増し、同社の株式のうち最大7%を保有する株主となる(市況による)

スエズ社はこの契約を通じてla Caixaグループを長期かつ一流の株主として迎え入れることで、資産構成の磐石化を図る。4年間の固定期間にわたって、la Caixaグループスエズ社の2番目に大きい株主となる。このことは、la Caixaグループの代表者がスエズ社の取締役に名を連ね、さらに戦略委員会にも参画することを意味する。

スマートウォーター事業を加速

この発表に際してスエズ社は、欧州南部に加えてチリその他の南米各国におけるプレゼンス向上を図り、また今後急速に発展するスマートウォーターサービスの商業的・技術的シナジー効果を加速していくと表明している。スマートウォーターサービスはスエズ社の戦略的優先分野のひとつである。さらに、la CaixaグループはAigües de Barcelonaの株式(15%)とAguas de Valencia*2の株式(14.5%)を保有することとなり、スペインにおけるスエズ社の強力なパートナーでありつづける。

スエズ社は発表の中で、この取引がスエズ社の正味の負債に与える影響は限定的なものだとし、また特に少数株主持分の合理化を図ったことにより、スエズ社の株主に対し正味残高においても1株あたり利益においても、価値を生みだすものだと評価している。スエズ社のGérard Mestrallet会長は次のように語った。「我々はla Caixaグループを長期的な株主として迎え入れること、そして彼らとともにスペインにおける事業を発展させていけることをとても誇りに思っています」

*1 大手民間水道事業者。この取引により、株主保有比率は70%がAGBAR社、15%がCriteria社、15%がバルセロナの地方自治体 AMB (Metropolitan Area of Barcelona)となる。*2 スペインの民間水道事業者。

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