ACCIONA、ブラジルを下水処理事業の戦略国と位置付け

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スペインの総合インフラ企業であるACCIONA社が、下水処理分野における重点国としてブラジルに注目している。ブラジルは今世紀初めに急速な経済成長を遂げ、IMF及び世界銀行によればGNPが世界第7位に達したが、この発展の要素として、連邦政府や州政府による水分野への優先的な投資が挙げられる。特に、下水処理に関しては、ルセフ大統領が昨年11月に、1200の市町村での下水道敷設と下水処理への62億米ドルの投資を発表している。

ブラジル環境省が作成した上下水サービス評価書によると、ブラジルの上下水道市場は2012年には270億ユーロに達した。ACCIONA社は、ブラジルへは既にコンセッションや建設、不動産部門で進出していたが、2009年に、ミナスジェライス州のアルダス下水処理場の運営とメンテナンスを25年間請負うこととなり、ブラジルの水事業での主役となった。このプロジェクトは、投資額2500万ユーロで、処理能力4m3/秒で160万人の住民をカバーするものである。汚泥消化槽を改善して、超音波処理により乾燥汚泥の量を10%減らし、マイクロタービンの燃料として使われるバイオガス発生量を10%増やす他、近隣住民の為の悪臭処理設備を備えるものとなっている。

最近では、リオデジャネイロ州の環境局による、同州第二の都市であるサン・ゴンサロ市の下水処理施設工事を、ブラジル企業Serven及びGel社とのコンソーシアムで1.2億ユーロで落札した。このプロジェクトは、建設期間が3年で、アルカンタラ河及びムトンド河の回復及び、約25万人の住民に下水道サービスを供給するものである。1.2m3/秒の下水処理プラントと、ポンプ場、下水道敷設を含めた総合システムの建設が予定されている。

下水処理の普及は世界的な課題

都市排水処理は、ミレニアム開発目標の一環として世界的に優先度の高い分野であり、水ビジネスの中でも重要な位置付けとなっている。ミレニアム開発目標では、2000年に、飲料水や下水道にアクセス出来ない人口を半減する目標が挙げられているが、下水道普及は飲料水普及に比べて遅れており、現在下水道へのアクセスがない人口は24億人となっている。このため、政府や企業は、水域に排水される汚水が環境に及ぼす影響を最小限とする為の努力を図り、それに伴って新しい技術の開発も進んだ。中でもスペインの企業は、世界的に知られるところとなっており、その一社がACCIONA社である。

ACCIONA社はこれまでに300以上の排水処理場を、スペインを初め、イタリア、ポルトガル、インド、中東、オーストラリア、アルジェリア、メキシコ、ブラジル、コロンビア、ドミニカ共和国などで建設しており、処理能力合計は、4500万人をカバーする200万m3/日に達する。同社が投資額5億ユーロで建設したメキシコのアトトニルコ排水処理場は世界最大のもので、1500万人をカバーし、平均処理水量は35m3/秒となっている。

EnviXコメント

ACCIONA社の水事業部門であるACCIONA Aguaの売上は順調に伸びており、2005年の1億9400万ユーロから2013年には5億8500万ユーロに達している(下図)。ACCIONA Aguaは目立った企業買収などはおこなっていないものの、着実に水ビジネスの世界で実績を重ねつつあることが分かる。

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図 ACCIONAの水事業部門の売上推移
(出典:ACCIONA社年次報告書)

特に注目したいのが売上に占める海外比率である。運営・管理業務(O&M)については海外での売上比率が増加傾向にあるるものの、依然として全体の9割をスペインでの事業が占めている。しかしながら設計・建設業務に関しては2008年には半分未満であったが、近年は海外比率が増え続けており、2013年にはスペイン国外での売上が9割に達した。新興国の水市場が伸びているという背景もあるが、同社がいかに国外での案件獲得を積極的に進めているかが分かる。ブラジルの水市場を狙った今回の背景には、このACCIONA社の戦略が現れている。

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図 ACCIONA Aguaの地域別売上比率
(上図はO&Mの売上比率、下図は設計・建設の売上比率を表す)
(出典:ACCIONA社年次報告書)

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