米ニュージャージー州議会、水道民営化の手続きを簡略化する法案を可決 – 住民投票が不要に

ニュージャージー州上院は2014年12月19日、公営水道を民間に売却する手続きを簡略化する法案を可決した。法案は、Chris Christie知事の署名を待つばかりとなった。この法案――水インフラ保護法案――は、およそ1時間の討議のあと採決に付され、21対16の賛成多数で可決された。現在は、自治体が公共水道システムを売却するには住民投票が必要であることが州法で定められているが、この法案が成立すると、住民投票を経ない売却が可能になる。

これについて、Bob Smith州上院議員(民主党、ミドルセックス選出)は「ニュージャージー州民にとって、なんともひどい結果となった。ばかげている……われわれの水道を投げ売りするなんて」と憤りを表している。いっぽう、法案の提案者のひとりであるJoe Kyrillos州上院議員(共和党、モンマス選出)はこう述べている。「大げさな話はやめよう。だれも、水道ユーティリティを無理やり売らされるわけではないのだから」

多くの団体が反対も、賛成派は利点を強調

2014年9月に提案されたこの法案には、ニュージャージー州自治体連合、ニュージャージー商工会、シエラ・クラブやFood and Water Watchといった環境団体、全米通信労働組合など、さまざまな団体が反対してきた。また、州の利用者相談課も、インフラの売却が法的手続きだけでできるようになると、けっきょくは利用者が自分たちの水道システムを売るために料金を払っていることになってしまうとして、法案に公然と反対していた。

いっぽう、法案を支持するひとたちは、何年も放置されてきた公共インフラへの民間からの投資がこれでできるようになるという利点を強調している。

なお、この法案は2014年12月15日に下院を45対24の賛成多数で通過している。

修正で、住民投票なしに売却できるシステムの範囲が狭まる

州議会を通過したこの法案にChristie知事が署名すると、漏水や塩分浸透の問題があるなど一定の条件が満たされていることが証明できれば、地方公共団体は水インフラを民間企業に売却できるようになる。法案の提案者のひとりであるPaul Sarlo州上院議員(民主党、バーゲン選出)は、2014年12月にはいってから法案が修正され、住民投票なしに売却できる水道システムの範囲が狭められたことを明らかにした。

いっぽう、シエラ・クラブのJeff Tittelニュージャージ支部長はこう述べている。「きょう、州上院はニュージャージーの水道を売りとばした。この法案は非民主的であり、住民の監視と意見を排除するものであり、また、われわれの水道を保護する規制の撤廃を可能にし、水道料金を野放しにするものだ」

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