中国の水危機、対応を誤れば企業の弱体化に――国際NPOが報告

国際NPOのCDPは2015年6月10日、Enhancing Water Security in China(中国の水セキュリティ強化)と題する報告書を公表した。報告書は、中国の水質汚染と深刻さを増しつつある水不足が中国企業の将来の競争力と資金調達力を弱めるおそれがあり、そうしたリスクの評価と理解が中国企業に不足していると指摘している。環境保護部の最新のデータによると、中国では、地方によっては水不足がきわめて深刻で、その上、地下水の60%と地表水の33%が人間の使用に適さない程度にまで汚染されており、工業化と都市化が進むなか、こうした水リスクへの取組が、中国で事業を営む内外の企業の大きな課題になってきている。

水利用に関する戦略でグローバル企業と落差

この報告書は、上海で開催されたAquatech China 2015に合わせて公表されたもので、中国国内に本社を置く29社と、フォーチュン・グローバル500にランク入りしている企業のうち中国で事業活動をおこなっている174社について調査した結果をまとめている。それによると、グローバル500の174社のうち68%が水利用に関するポリシー、戦略、ないしは経営計画をもっているのに対し、中国国内に本社を置く企業でそうしたものを策定しているのはわずか10%しかなかった。また、グローバル企業のうち62%が水利用に関するポリシーや戦略を取締役会レベルで管理しているのに対し、中国国内に本社を置く企業では取締役会レベルで水利用に関する戦略の意思決定をしているのはわずか7%しかなく、企業の水管理能力を削ぐ結果となっている。

さらに、サプライヤーに対して水の利用、リスク、および管理に関するデータの提供を求めている企業は、グローバル企業では25%だったが、中国企業では皆無である。水供給を依存している水源域の広範なリスク評価を実施している企業も、グローバル企業では40%、中国企業では皆無だった。

なお、本稿で紹介したCDPの報告書は以下のURLで読むことができる。
https://www.cdp.net/CDPResults/uk-china-water-report-2015-web-english.pdf