チリ銅資源局、銅資源開発の淡水使用量は2026年までに19%減り、海水使用は4倍になるという報告書を発表

チリの銅資源局COCHILCOは2015年11月10日、2026年までの鉱物資源開発における水の消費量見通しに関する報告書を発表した*1。COCHILCOでは同報告書を毎年作成している*2

今回の報告書では、2026年までに銅鉱山開発における淡水使用は、2015年の使用見込み量から毎年1.9%減少し、一方で海水の使用は毎年14.1%増加すると報告されている。これにより下図の通り、2026年には淡水使用量は10.8 m3/秒、海水使用量は 10.7 m3/秒と使用量はほぼ同レベルに達する見込みとなっている。

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図 海水使用量および淡水使用量の推移(2015年は推定値、2016年以降は予測値)
出典:銅鉱山での2026年までの水消費量予測に関する報告書

海水消費量の増加率が一番高いのはアントファガスタ州で、同州の淡水使用比率は、2015年の43%に対し、2026年には21%となる見込みとなっている。また州別の海水使用量推移の予測は下図の通りで、アントファガスタ州が圧倒的に多く、2026年には8456リットル/秒に達し、2015年の約4倍に拡大するものと見込まれている。さらに2019年頃よりタラパカ州やコキンボ州での新しいプロジェクトが加わる見通しとなっている。

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図 地域別の海水使用量予測
出典:銅鉱山での2026年までの水消費量予測に関する報告書

各淡水化プラントの淡水生産能力は、以下の通りとなっている。

淡水化プラント 稼動開始年 淡水化能力
リットル
/s
直接取水能力
リットル
/s
Michilla 稼働中 75 23
Mantoverde 稼働中 120
Escondida (Coloso) 稼働中 525 – 2,500
Mantos de la Luna 稼働中 78
Centinela (Esperanza) 稼働中 50 780 – 1,500
Antucoya 稼働中 20 280
Las Cenizas (Taltal) 稼働中 9.3 12
Sierra Gorda 稼働中 63 1,315
Pampa Camarones 稼働中 12.5
Candelaria 稼働中 300
Encuentro 2018 20 115
Diego de Almagro 2018 315
Santo Domingo 2018 2.5 – 290 389
Radomiro Tomic 2018 1,630
Dominga 2019 450
Spence 2019 800 – 1,600
Quebrada Blanca 2020 1,300

また水の使用量が200 リットル/sの鉱山の海水使用コストは、エネルギーコストをUS$100/MWhとすると、平均US$16/lbと見積もられている。

*1 http://www.cochilco.cl/Archivos/destacados/20151110124039_Proyecci%C3%B3n%20de%20consumo%20de%20agua%202015%20al%202026.pdf

*2 EWBJ53号に関連記事有り「チリ銅資源局、銅鉱山の2014-2025年の水消費量見込みに関する報告書を発表――2025年までに海水利用率が36%となる見込み

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