中国・北京市、2019年6月までに河川への汚水の直接排出をなくす方針を打ち出す

中国北京市では、「北京市による汚水処理および再生水利用施設の建設加速に向けた3年行動方案」(以下、新3年方案)が大筋で合意された。この新3年方案は、2016年7月から2019年6月までの3年間に汚水処理の“殲滅戦”を精力的に展開し、河川への汚水の直接排出を原則としてなくす目標を打ち出している。各年の具体的な行動目標は以下の通り。

表 汚水処理関連の新たな3年行動計画目標
(出典:新3年方案よりエンヴィックス作成)

目標
2017 市街地、行政副都心および上流地域から悪臭汚水を除去。
2018 市全体の悪臭汚水をほぼ除去し、国務院の『水汚染防止行動計画』の整備任務を前倒しで完了する。
2019 Ÿ・市全体の汚水処理率を94%まで引き上げる。汚水処理施設によって、市中心部や行政副都心の市街地全体の汚水を処理し、ほぼすべての汚水を処理する。
・その他の新市街での汚水処理率を93%、郷・鎮※1地域の汚水処理率を75%にまで引き上げ、再生水利用量11億m3を達成する。
・ 国際園芸博覧会、新空港、ユニバーサルスタジオ、冬季オリンピック会場などの重点地域および都市と農村の境界地域、重要な水源地、民族文化を残す旅行地が存在する村落などの地域全体で、汚水処理施設による汚水処理をほぼ実現し、全市の汚泥無害化処理率100%を達成する。

統計データによると、北京市では、合計141箇所の河川が「黒臭河川」として評価されている。新3年方案では、汚水収集管路の建設に力を注ぐとともに、市内中心部の汚水処理施設を整備することが明記された。また、再生水工場敷地内の汚水支線管路の設置を推進し、汚水が雨水と合流して河川へ流入することを段階的に削減するために10キロ以上の雨水汚水合流管渠を改造、2018年末までに黒臭河川を基本的になくす目標が打ち出された。

再生水の普及

北京市は、深刻な水不足に悩まされている。「南水」(南地域の水)を北京に送ることにより、長期的な観点からみた北京の水資源不足はある程度緩和されたが、歴史的に積み重なってきた問題も多々存在するため、水環境の整備は依然として重要な課題である。水資源不足の解消にむけて、北京市における再生水の利用量は年々増えており、2015年には9億5000万立方メートル達した。2020年には、北京市の用水総量が43億立方メートル以内に厳格に抑えられ、再生水利用量は12億立方メートルに達する見込みである。

2016年、北京市は5つの再生水工場および116キロの汚水管路を新設・改築し、70村の汚水収集処理問題を解決する予定である。2020年には、北京市の汚水処理率は95%以上に達し、基本的に全ての汚水が処理されるようになる予定である。

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