インドネシア、低所得世帯への優先的な浄水供給を目指す

2016年5月3 日に現地で報じられたところによると、インドネシアM. Jusuf Kalla副首相が浄水の供給においては低所得層を優先すべきとの考えを表明した。

Kalla副首相はこの日開催されたフォーラム「Indonesia Water and Wastewater Expo and Forum(IWWEF)」に登壇し、「低所得層の生活費を下げるため、浄水の供給においては彼らを優先すべきである」と述べた。インドネシア政府は2019年までに新たに1000万世帯への浄水供給網の整備を目指しており、そのために最大70兆ルピア(約5760億円)の予算を確保している。これまでのところ国営水道事業者のPDAM*1は、約800万世帯に上水道を整備し、その普及率は約15%である。浄水へのアクセスを持たない低所得世帯は浄水を購入する他なく、それにより生活費が高くなっているとKalla副首相は指摘した。具体的には、通常1世帯が浄水を入手するために支払う金額は月額30万ルピア(約2470円)または1タンクあたり4万ルピア(約324円)であり、PDAMが供給する価格よりも高額になるという。また副大臣は、新たに1000万世帯に浄水供給網を整備するこの取り組みにより、国内の社会的に不公正な状態が解消すると述べた。

2019年までに、安全な飲用水供給率100%の達成を目指す

インドネシア水道協会(Perpamsi)が主催したフォーラムIWWEF 2016には、中央・地方政府、水道会社、株主、水道業界の専門家らが参加した。IWWEFは、Perpamsiが飲用水・下水道分野におけるパフォーマンスを向上させる上で、とりわけ公共事業・国民住宅省が「2015~2019年国家中期開発計画(2015-2019 National Midterm Development Program)」の中で定めた目標を達成する上で、重要な意味を持つイベントであるという。この中期計画の目標は、2019年末までに、「安全な飲用水の供給率100%、スラム率0%、適切な衛生施設の提供率100%」を達成することである。PerpamsiのRudie Kusmayadi会長は、IWWEFについて、浄水供給などの論点について意見・情報交換を行うプラットフォームとして機能していくと説明した。

*1 PDAMは、自治体政府として水供給システムの改善および管理の責任を負っている組織である。その主な役割は、きれいな水をすべての消費者グループに手頃な価格で提供すること、日常的な給水の管理・運営、水管理行動計画の作成、そして水道サービス向上について民間セクターと交渉を行うことである。なお、PDAMによる水道供給が未整備の地域については、地方自治体政府が水道整備をおこなっている地域もある。

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