インド、国内の深刻な干ばつを背景として再生水市場は将来的に170億ドル規模に

2016年5月31日に報じられたところによると、水不足が深刻な問題となっているインドでは、排水処理プラントの建設が進み、将来的に水のリサイクルプラントの市場規模が170億ドル(約1兆8000億円)規模に達すると見られている。これは水、排水、運輸インフラを手掛けるインド企業Vishvaraj Infrastructure社の試算による数字であり、同社によればこの市場を牽引している大きな要素が工業水の需要であるという。

主要都市の排水は1日あたり380億リットル

Vishvaraj社の会長、Arun Lakhani氏はインドの主要都市から出る排水は1日380億リットルに上り、最終的にはそのすべてがリサイクルされなくてはならないと指摘する。そのためには水処理施設に莫大な投資が必要となるが、政府は市場のポテンシャルを最大限に引き出すためには十分魅力的な下水契約を用意しなくてはならないと同氏は述べた。また、Lakhani氏はメディアのインタビューに対し「下水を処理した再生水は、将来的に最も確実な工業用水源となりうるものです。火力発電所は、多くの水を必要とします。リサイクル水の利用先として火力発電所は理想的です」と答えた。

現在インドは過去にない干ばつに見舞われているが、これは2014~15年の2年間、雨季に雨が十分降らなかったことによるものである。ただし、予報が的中すれば、6月からは状況が良くなると見込まれている。ただ、そうであったとしても、現在の干ばつの状況からは地下/地表水の枯渇を防止するためのより長期的な取り組みの必要性が浮彫りにされている。水不足の脅威により、産業界と農業、そして飲料水を必要とする13億人の国民の間での緊張は高まる一方である。

Lakhani氏はさらに、今後5年間でインドの石炭発電所(総容量:約186ギガワット)の4割以上が連邦政府の規則にしたがってリサイクル水使用に切り換える可能性があると指摘し、さらにこのための処理プラント建設は最低でも80億ドル(約8510億円)規模になると述べた。これまで、都市用水のリサイクルを進める上で最大の障壁はコストであった。多くの国民が1日3.10ドル(約332円)未満で生活しているインドでは、水道行政の担当者は水道水の価格を上げないよう苦心しており、民間の試算によれば、アジア第3位の経済を誇る同国における年間の処理水の販売量は16億ドル(約1720億円)にとどまっている。インドの淡水の取水量は中国を上回っており(下図)、国民1人が1年間に使用できる水の量が1700m3を下回ると水ストレス状態と呼ぶが、インドでは2050年までにこの数字が「水不足」とされる1000m3に近くなると見られている。

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各国の年間の淡水取水量(上位10か国)(単位:十億m3
(出典:世界銀行統計データよりエンヴィックス作成)

欧州の2大水メジャーVeolia社とSuez社は、2015年時点でともにインドでの事業拡大を見越していると語っている他、インド・チェンナイを拠点とし、水処理プラントを建設するVA Tech Wabag社の株価はこの5年間で130%に成長し、売上も右肩上がりで推移している(下図)。

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※1ルピー≒1.58円(2016年6月15日時点)

図 VA Tech Wabag社の売上推移(単位:億ルピー)
(出典:VA Tech Wabag Annual Reportよりエンヴィックス作成)

またVishvaraj社は現在、海外企業とインドにおける連携の可能性を模索しているという。

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