台湾・鳳山溪再生水工場のBTO計画が正式に締結――再生水量は1日当たり4万5000トンに達する見込み

2016年8月22日、台湾にある鳳山溪再生水工場のBTO*1計画が、高雄市政府と藍鯨水科技株式有限公司間で正式に締結された。同計画について、高雄市長である陳菊氏は次のように述べた。「台湾初となる汚水再生のBTO計画は、2年間の計画期間を経て、さまざまな困難を克服し契約締結に至った。同計画の完成後、処理済み再生水は、高雄市の臨界工業区で使用され、1日当たりの再生水供給量は4万5000トンに達する見込み。環境教育やランドスケープを組み合わせて、市民の汚水処理場に対する堅苦しいイメージを払拭し、台湾の水資源再利用における重要な里程標とする」

同日の午前の調印式では、陳市長と藍鯨水科技株式有限公司の陳升忇董事長(取締役会長)が、台湾初の公共汚水処理場放流水回收再利用計画となる鳳山溪再生水工場モデル計画に共に署名した。陳市長によると、再生水工場の建設は2期に分けて行われる。第1期は契約締結後2年以内に完成し、1日当たりの再生水供給量は2万5000トンに達する見込み。第2期は契約締結後3年以内に完成する。竣工予定年度は2018年。第2期工事の完了後、1日当たりの再生水供給量は4万5000トンに達する。同計画によって、今後、水道事業者の水資源配分における幅が広がるだけでなく、同計画の成果は、今後の台湾での水資源再生利用における重要な参考資料ともなる。

陳市長によると、鳳山溪再生水工場のBTO計画における根拠となったのは、201512月に第三読会を通過した「再生水資源発展条例*2」である。今後、同条例の下位法令が次々に制定され、地方政府と中央政府間でのより一層緊密な協力が図られる見通しである。総投資額25億NTD(約81億円)の再生水工場計画では、放流水を回収する以外にも、保安湿地や公園内の水路を組み合わせて、国内初となる水資源の再生をテーマとした環境教育パークを作り上げていく。環境配慮型の景観、エコ教育、憩いの場としての役割も兼ね備えた同パークにより、市民の汚水処理場に対する堅苦しいイメージを払拭する。

水利局によると、同パーク内の水テクノロジー教育館と再生水処理場の屋根には鯨のデザインを採用し、銀級のグリーン建築ラベルも取得する予定で、高雄市の海洋都市としてのイメージに沿う建物となる。加えて、水資源の再生や持続可能な発展という課題に注力している高雄市政府は、今後も回収水再利用の実現可能性について積極的に評価し、全市でさまざまな形の水資源開発を実施していく。

*1 BTO(Build Transfer Operate=建設・移転・運営)建設・資金調達を民間が担って、完成後は所有権を公共に移転し、その後は一定期間、運営を同一の民間に委ねる方式。

*2 EWBJ57号に関連記事あり「台湾、再生水資源発展条例を公布――国内での再生水利用の拡大を目指す

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