GEの水事業売却先の行方

米大手総合メーカーGEは2016年10月末に水処理事業を売却する方針を表明*1したが、本件についてNew York Postが報じたところによると、売却先候補に投資会社Blackstoneが挙げられているという。関係者の話によると、GE水処理事業の買収を巡り、一連のオークションが開催され、Blackstoneは30億ドル(約3451億円)で同事業の買収を提案したという。同社以外にも、Bain CapitaやClayton, Dubilier & Riceといった別の投資会社も名乗りを挙げている。

GEは、米油田採掘サービス事業者Baker Hughesを買収し、自社の石油・ガス事業との統合を目指している。事業統合の完了には規制当局からの承認が必要となり、独占禁止の観点から水処理事業を売却する必要性が高いとされている。GEは昨年10月末に、Baker Hughesの買収計画と併せて、水処理事業を20億ドル(約2301億円)にて売却する方針を表明した。同社は昨年12月には水処理事業は多大な利益を生み出すドル箱事業であると強調していた。

GEは最近、ロボティクスやIoT(モノのインターネット)など投資回収率が高い事業への集約化を図っており、他事業の売却を進めている。同社はこれまで、傘下のメディア企業NBC Universalを始め、家電部門やファイナンス部門の大部分を売却したほか、昨年12月には産業ソリューション部門の買収先を模索した。水処理部門と産業ソリューション部門の売却を通じて、少なくとも40億ドル(約4601億円)の純利益をGEは見込んでいる。また、ファイナンス部門の残りの資産を通じて得られる配当金は少なくとも60億ドル(約6902億円)に上ると見られており、資産売却等による利益は2017年単年で合計最低100億ドル(約1兆1503億円)へ達する見込みである。

一方、Blackstoneは過去に、GE資産を買収した実績を有している。2015年4月にはWells Fargoと共同で、GEファイナンス部門が有する大部分の不動産を約230億ドル(約2兆6456億円)で買収した。更に同社は、水処理事業への投資を行っており、2003年にはApolloやGoldman Sachsと共に、水処理企業Ondeo Nalcoを42億ドル(約4831億円)にてSuezから買収した。2007年には同社を売却し多大な利益を獲得した。

*1 EWBJ60号に関連記事あり「GE、水処理事業の売却を検討

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