UAEマスダール科学技術大学院大、グリーン淡水化技術で韓国高麗大と提携

アラブ首長国連邦(UAE)の先端エネルギーと持続可能性のための技術に特化した高等研究・教育機関であるマスダール科学技術大学院大学はこのほど韓国の高麗大学校と、UAEにおけるエネルギー効率のよい淡水化技術の開発に向けて提携することで合意した。この共同研究プロジェクトの目的は、再生可能エネルギーのみで稼働する淡水化プラントによる大量の造水の実施可能性を確認することにある。

このプロジェクトはまた、UAEにおける淡水化のエネルギー・フットプリントを低減するための将来性のある革新的な淡水化技術の利用可能性の実証もめざしている。今回の合意にもとづき、複数の韓国企業から成る共同事業体が、両大学の研究用のパイロット淡水化プラントをアブダビに建設する。

合意書の署名式は、2017年アブダビ持続可能性週間(ADSW)の催しの一環としてアブダビ国立エキシビション・センター(ADNEC)で開催された世界未来エネルギー・サミット(WFES)の会場でおこなわれ、高麗大のSeungkwan K. Hong研究部長、韓国インフラ技術振興庁(KAIA)のByung-Soo Kim長官、マスダールのMohammed Al Ramahi CEO、およびマスダール科学技術大学院大のBehjat Al Yousuf学長代理が合意書に署名し、韓国国土交通部水資源政策局のYoo Seung-young次長が署名に立ち会った。

水需要と持続可能性の要求を同時に満足

この合意について、マスダール科学技術大学院大のAl Yousuf学長代理はこう述べている。「淡水化は過去何十年にわたって、増大しつづけるUAEの淡水需要を満たすのにきわめて重要なものだった。しかし、将来に目を向ければ、持続可能性を高めるためにエネルギー消費とカーボン・フットプリントを減少させることもまたUAEにとってきわめて重要であることがわかる。再生可能エネルギーを利用したエネルギー効率の高い淡水化はこの両方を同時に可能にするもので、共同研究に関する高麗大学校およびKAIAとの今回の合意は、低炭素淡水化を現実のものとするのに必要な技術の実証に役立つだろう」

また、KAIAのKim長官は、韓国がUAEと共同で進めている逆浸透法海水淡水化の研究開発プロジェクトが、気候変動にともなう世界の水不足問題に立ち向かう力を強化するものと期待されているとした上で、つぎのようにつづけた。「この研究を通して得られた革新的な技術が世界の淡水化市場における韓国とUAEの競争力を高めてくれることを願っている」

今回の合意にもとづき、パイロット淡水化プラントの性能を評価する共同研究プログラムがスタートするほか、エネルギー効率改善の可能性の高い新たな前処理技術の開発、試験、および実証の分野でも、高麗大との協力関係がさらに促進されることになる。

両大学の協力体制の概要

この共同研究プロジェクト全体の責任者には水・環境工学を専門とするHassan Arafatマスダール科学技術大学院大教授が就任し、高麗大側の研究チームのリーダーにはSeungkwan Hong教授が就くことが決まっている。Arafat教授は淡水化の技術とシステムの開発経験があり、特に、持続可能な低エネルギー技術に造詣が深い。

両大学が共同で進める研究プログラムには、マスダール科学技術大学院大と高麗大のそれぞれに割り当てられたタスクが含まれている。マスダールが発表した声明によると、マスダール科学技術大学院大は処理水等の化学分析をおこない、高麗大の前処理技術開発を支援する。マスダール科学技術大学院大はまた、アブダビに韓国側が建設するパイロット淡水化プラントの性能を高麗大のチームが評価するのを支援する。

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