インド、産業用施設への廃水処理設備の設置を義務化

インド最高裁判所は2017年2月22日、3か月以内に廃水処理設備を設置しない場合、該当する産業施設への電力の供給停止を電力供給事業者へ依頼するよう、州汚染管理委員会(State Pollution Control Board)へ指示した。インドでは、産業施設から排出される廃水や汚染物質による国内水域の水質汚染が深刻化している。NPOによる提訴(罪状申し立て)を受けて、最高裁判所は、産業施設から生ずる廃水の公共用水域への流入を防止するため、廃水処理場を整備しない場合は、産業施設の操業を許可しない方針を決定した。

NGO団体Paryavaran Suraksha Saitiは以前、インド国内の公共用水域の水質汚染を巡り、提訴していた。同訴訟を通じて、何百万人に上る国民の健康や生活、動物の健康、植物相や動物相にリスクを及ぼす、地下水や沿岸地域の海域等を含む国内全域の水域の広範囲な汚染に対する懸念が高まった。同訴訟は当初、インド・グジャラート州のみを対象としていたものの、水域汚染に対する懸念の高まりを受け、その後、最高裁判所によって他州へも適用範囲が拡大された。各州政府は、1月16日までに提訴の内容に対する見解を示す機会が付与されていた。最高裁判所は、同NPOが罪状申し立てを行った旨を、環境・森林省(Ministry of Environment and Forests)、中央汚染管理委員会(Central Pollution Control Board)、国内19か所の州知事等へ通知していた。

J S Khehar最高裁長官、D Y Chandrachud裁判官、及びS K Kaul裁判官は、廃水処理場を整備、運用した後に、産業施設の操業が再開できる可能性を示唆した。最高裁判所は更に、中小事業者が共同で利用する共同廃水処理場(Common Effluent Treatment Plant:CETP)を整備したことを示す報告書を、同国にて環境関連訴訟事案を管轄する国家環境裁判所(National Green Tribunal)へ提出することを、州政府に対して義務付けた。また、CETPを整備、運用する上で財政難に直面した場合、利用者から料金を徴収する制度枠組みを、地方自治体が構築することも認めた。3月31日までに制度枠組みを最終化し、次会計年度から適用する見込みである。仮に期限内に同制度枠組みが完成しない場合、州政府が代表して、CETPの運用コストを負担する必要がある。

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