ベトナムの下水処理、民間の投資が必要

ベトナムでは、国と地方の予算が限られているなか、増大する下水処理の需要を満たすための当面の最も現実的な解決策は民間投資を呼び込むことだと考えられている。2017年6月中旬にひらかれた下水の集水と処理に関するワークショップで、参加した専門家らは、この分野への投資がほんのわずかずつしかおこなわれていないことを指摘した。

資金難のため各地で下水処理プロジェクトが停滞

メコンデルタの最大都市であるカントー市の建設局のNguyen Kim Hoangは、ドイツ復興金融公庫(KfW)が出資した処理能力が日量3万m3の集中下水処理プラントは別として、市内の他の下水処理プロジェクトにはまだ資金の手当てができていないと述べた。同氏によれば、カントー市のビントゥイ区、トットノット区、オーモン区、およびカイラン区の集中下水処理プラントの資金手当てはまだめどが立っておらず、出資者もみつかっていないという。市内の住宅地域や手工業地域の非集中型下水処理プロジェクトも同様の状況にある。

同じくメコンデルタにあるチャーヴィン省の建設局のDuong Vu Linhも、ドイツ国際協力公社(GIZ)が出資した処理能力が日量1万8000 m3の下水処理プラントを除いて、ほかのプロジェクトは資金難のために実施されていないと述べた。また、ベトナム中部クアンガイ省の建設局のある代表は、都市部における下水の集水と処理のシステムが発達していないのは資金源と開発資源が限られているからだと指摘した。

民間投資を呼び込むには

GIZのNguyen Con Thanh技術顧問は、予算が限られているこの状況下では、地方政府は民間部門に呼びかけて下水の集水と処理にかかわるよう促さなければならず、理にかなった方策を立てなければ民間投資を呼び込むことはできないだろうと述べた。さらに同技術顧問は、具体的には法人所得税や土地に関する優遇措置を講じることが必要で、そうしない限り資金不足はつづくだろうと述べた。メコンデルタ地方のある省では、2020年までに手工業地域の下水の3050%を集水・処理するという目標を立てているが、その目標を達成するには民間投資を呼ぶこむための優遇策が必須とされている。

ベトナムの下水処理の今後の見通し

ベトナム建設省は2017年になってから公表した報告書で、同国の都市人口は2025年には5200万人となり、そのいっぽうで下水の集水と処理の問題は解決されないままの状態がつづくだろうとしている。同国の現在の下水処理能力は日量89万m3で、これは全体の処理率が1213にとどまっていることを意味している。建設省のNguyen Hong Tienは、ベトナム政府は2020年までに下水の15~20%に基準適合の処理をほどこせるよう努力をつづけるとしている。

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