ベトナムの浄水プロジェクトでDarcoとInfraCo Asiaが提携

本稿はエンヴィックス「水ビジネス・ジャーナル」の無料サンプル記事です。
季刊レポート(年4回)の配信につき1件程度公開しています。
水ビジネス・ジャーナルをご契約いただくと、2,476件(2018年12月現在)の記事の閲覧・各種検索機能をご利用いただけます。
» サービス案内・ご購読はこちら

シンガポールの水処理システム・メーカーDarco Water Technologiesと、同じくシンガポールに本拠を置き東南アジア各国でインフラ・プロジェクトを展開しているInfraCo Asia Developmentは2017年9月21日、ベトナムで設計・建設・所有・運営(DBOO)方式の4件の公営上水道浄水プロジェクトを両社が提携して実施することを明らかにした。これはDarcoにとってベトナムにおける初めてのDBOOプロジェクトで、同社の海外展開が資産保有モデルへ移行しつつあることを示している。

シンガポール政府が後押し

Darcoのこの海外展開戦略のシフトは、シンガポール国際企業庁の後押しがあって実現したものだ。同庁は、DBOOの契約と実施に必要な資金調達、リーダーシップ、および経験の面でのDarcoの弱点を補うため、同社をインフラ開発が専門のInfraCo Asiaと引き合わせた。また、実施可能性調査においてもDarcoを支援した。

4プロジェクトの概要

Darcoと国際企業庁が2017年9月21日に発表した共同声明によると、両社がベトナムで実施する4件のプロジェクトは、最大で日量6万2000 m3の水をさまざまな地域のおよそ50万人に供給することをめざしている。これらプロジェクトのコンセッション期間は50年で、事業規模は合計で5000万シンガポール・ドル(約41億円)になる。このうち、ベンチェ省で実施されるプロジェクトは、2017年第4四半期に工事がはじまり、稼働後は日量1万5000 m3の水を産業ユーザーとおよそ1万5000世帯に供給することになっている。他の3件のプロジェクトは2018年に工事が開始される。

バリューチェーン全体にわたる事業拡張をめざすDarco

Darcoは2016年の年間売り上げが約6000万シンガポール・ドル(約50億円)で、おもな収入源は産業用水処理に特化したエンジニアリング、機材調達、および建設工事である。国際企業庁との共同声明のなかで、Darcoはさらなる成長のために同庁と連携し、資産保有タイプのプロジェクトを獲得することでバリューチェーン全体から利益を得ることをめざすとした上で、つぎのように述べている。「これにより、Darcoは継続した収入を保証され、キャッシュフローを改善するとともに、海外でさらに大きなプロジェクトを獲得することが可能になる

DarcoのThye Kim Meng CEOはこう述べている。「エンジニアリング、機材調達、それに建設工事の分野の競争が激しさを増すなか、バリューチェーンのなかで積極的に地盤をひろげていくことがわれわれにとって重要だ。設計・建設・所有・運営プロジェクトを推し進めることによる安定した継続収入が、Darcoをさらに大きく成長させてくれるだろう。国際企業庁とInfraCo Asiaは両者の専門的知見を駆使して、わが社が初のDBOOプロジェクトの契約をまとめるのに重要な役割を果たしてくれた。今回のやや規模の小さな分散型プロジェクトを通して、われわれは経験を積み、ベトナムその他の東南アジア諸国におけるより大規模な公共事業プロジェクトへとスケールアップしていくことができる」

 

EnviXコメント

Darcoの売上の推移は下図の通りである。2012年には子会社のDarco Environmental Pte. Ltd.をマレーシアの水処理エンジニアリング企業のSalcon社に売却したため、ここしばらくは売上が低迷していたが、2016年に持ち直した。この2016年の売上に貢献したのが、2015年に買収したWuhan Kaidi Water Services Co., Ltd.(WHKD)である。Darco自体は産業セクターの中でも特に電子分野と半導体分野の顧客に対しての強みをもっているが、買収したWHKDは電力分野の水処理を得意としており、また中国での事業拡大にもつながった。実際に、中国での売上は2015年はわずかに3%だったが、2016年には約半分を占めている。

そして中国での拡大に加えて、2016年のDarcoの年次報告書によると、同社が今後目を付けている市場がベトナムミャンマーカンボジアなどである。まさに今回の案件獲得は、その足掛かりとなるもので、Darcoにとっては非常に意味のあるものと言える。また、収益性の強化を目的として、ロンドンにあるアセットマネジメントファンドからの資金的援助を受けながら、今後はBOT、TOT、BOO、EPCといった案件の獲得にもより注力していくことが年次報告書では述べられている。

図 Darco売上推移(単位:1000シンガポールドル)
(出典:Darco Annual Report[1]

図 2016年の地域別売上比率
(出典:Darco Annual Report 2016[2]

このほかにもDarcoは、同じくシンガポールのAquaporin Asiaと共同で正浸透(FO)技術をベースとしたZLDシステムの技術開発プロジェクトを進めている[3]。Aquaporin Inside正浸透技術をベースとした産業廃水処理向けの低エネルギーZLDシステムを目指しており、今後の実用化が期待されている。

[1] https://darcowater.com/annual-reports/

[2] https://darcowater.com/wp-content/uploads/2017/05/Darco-Annual-Report-FY2016.pdf

[3] EWBJ58号に関連記事有り「シンガポールのDarcoとAquaporin Asia、正浸透技術をベースとしたZLDシステムのプロジェクトで提携

本稿は、国内唯一の水ビジネス情報専門サービス「水ビジネス・ジャーナル」の無料サンプル記事です。
本WEBサイトでは、国・地域別企業別記事テーマ等の充実した分類から、水ビジネス情報をお探しいただけます(一部のサンプル記事を除き、記事閲覧は要契約・有料です)。是非とも採用をご検討ください。

» サンプル記事一覧
» 水ビジネス・ジャーナルについて
» 個別委託調査

タグ「, 」の記事:

2018年12月6日
トランプ政権における水・環境政策の取組みと今後の方向性
2018年11月22日
英国企業Rezatec、カナダのUtilities Kingstonに漏水リスク分析ツールを提供
2018年11月15日
米で約5000の自治体、新たに水道水のPFC汚染検査を実施へ
2018年11月15日
ブラジル・サンパウロ州のビリグイ市、上下水サービスを民営化すると提案――投資額約4000万米ドル
2018年11月8日
コロンビア住宅・都市・国土省、農村部の上下水プロジェクトの技術要件を規定する決議書を公布