東欧の上水道インフラ、大きな投資が必要――2020年までに60億ユーロが必要に

欧州会計監査院が2017年9月12日に公表した報告書[1]によると、ブルガリア、ハンガリー、およびルーマニアが良質の水道水へのアクセスを改善し、EUの飲料水関連の法規を遵守するには、2020年までにおよそ60億ユーロ(約8000億円)が必要だという。2007年から2020年にかけて計37億ユーロ(約4900億円)を投じる地域開発・結束基金プログラムが上水の管理と供給の改善にこれまで大きな役割を果たしてきたことは確かだが、上記の3国は依然としてそれぞれ状況の異なる問題を抱えていると報告書は指摘している。

3国それぞれの現状

ルーマニアは公共上水道を利用できる人口が全体のわずか62%しかなく、その点ではEUのいわば落ちこぼれである。それに対してブルガリアとハンガリーでは水道利用人口は100%に近い。しかし、水道水のロスに関してはブルガリアが最大で、利用者のもとに届く前におよそ60%が漏洩によって失われている。この漏洩率はルーマニアでは40%、ハンガリーだけがEUの平均――浄水場から蛇口までのあいだに3分の1のロス――を下回っている(下図)。なお、2005年から2013年にかけて漏洩率が上昇している点については、計量技術の改善によってより正確な数値が判明したため、と本報告書は説明している。

図 各国の水道の漏洩率(2005年と2013年の比較)(単位:%)
(出典:Implementing the Drinking Water Directive)

欧州会計監査院は各国の水質報告義務強化などを要求

欧州会計監査院で今回の報告書の責任者を務めたGeorge Pufanはこう述べている。「これらの国の水道網へはEUの予算からかなりの資金援助がおこなわれてきたが、その資金が各国の水道への通常の支出を肩代わりするものであってはならない」

この報告書は欧州委員会に対して、進行中の飲料水指令の改正作業のなかで、現在は微生物や化学物質など48項目についての定期水質試験とその結果の報告を義務づけている規制をさらに強化することを求めている。報告書はまた、上記3国に対して、水道インフラの持続可能性をじゅうぶん考慮した料金設定をおこなうとともに、水道料金を支払えない貧しい家庭には必要に応じて支援をおこなうことを求めている。

なお、欧州委員会はすでに2015年に水質モニタリング規則を改正しており、最新の立法ロードマップによれば2017年の第4四半期に飲料水指令を全面改正することになっている。また、欧州の水道事業者の団体であるDrinking Water Europeは2017年にはいってから、各国の国内規則間の調和をよりはかることを求める呼びかけをおこなっている。

[1] Implementing the Drinking Water Directive: water quality and access to it improved in Bulgaria, Hungary and Romania, but investment needs remain substantial
http://www.eca.europa.eu/Lists/ECADocuments/SR17_12/SR_DRINKING_WATER_EN.pdf

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