Cabot Corporation、ニューヨーク州政府から水道水中のPFOA除去用の活性炭サプライヤとして選定

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米マサチューセッツ州ボストンに拠点を構える化学材料メーカーCabot Corporationは2018年4月11日、ニューヨーク州ホーシック町において地下水汚染物質の処理システムを提供する活性炭サプライヤとして、ニューヨーク州環境保全局(NYSDEC:New York State Department of Environmental Conservation)から選定されたと発表した。Cabot Corporationは、飲用水からペルフルオロオクタン酸(PFOAを除去する活性炭“HYDRODARCO 4000[1]”を製造している。

ニューヨーク州ホーシック町では、地域住民や企業への飲用水源として、民間所有の井戸の汲み上げによる地下水が利用されている。NYSDECによる監督の下で、PFOAを含む有害化学物質の地下水への汚染調査が、ホーシック町近郊のHoosick Fallsにて最近実施された。異なるサプライヤが開発する複数の活性炭をエンジニアリング企業Arcadisが試した結果、Cabot Corporationが開発する“HYDRODARCO 4000”が、PFOAなどを含む有害物質を地下水の汲み上げ時点で除去する地下水汚染処理システムに最も効果的であると結論付けた。

PFOAやパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)は、一般的に広く知られているペルフルオロアルキル化合物であり、プラスティック、泡消化剤、耐水繊維、耐油性塗料などの多様な製品に使用されている。これらの化学物質が環境中へ放出されると、有害性が持続され人間の健康へリスクをもたらす。最近では、米環境保護庁(EPA:Environmental Protection Agency)が、飲料水へのPFOA及びPFOSの含有量を70ppt(飲料水1リットルあたり0.07マイクログラム)とする健康注意レベル(HAL:Health Advisory Level)を発表した[2]

EnviXコメント

PFOAを始めとした有機フッ素化合物による水道水汚染は全米で大きな関心事となっている。2017年に環境NGOのEnvironmental Working Group(EWG)とノースイースタン大学の研究グループが発表したところによると、27州でおよそ1500万人が利用している水道水が有機フッ素化合物で汚染されており(下図)、その濃度は安全なレベルを超えているという[3]


図 有機フッ素化合物による汚染状況(赤い点が汚染地点、青い円がEPAの調査で有機フッ素化合物が検出された地点(円の大きさは給水人口の多寡を示す))
(出典:EWG)

この汚染の原因のひとつとして挙げられているのが有機フッ素化合物を使用していたメーカーの工場などであり、いくつかの州では訴訟も起きている。例えば、アラバマ州北部のウェストモーガン・イーストローレンス上下水道公社は、水道水がPFOAおよびPFOSで汚染された件で、Daikin America Inc.、および3M Co.とその子会社Dyneon LLCが原因企業であるとしてこれら3社を相手取って訴訟を起こした(なおこのうちDaikinについては2016年9月に500万ドルを公社に支払い、和解した。支払った500万ドルのうち390万ドルは同公社の浄水施設に活性炭濾過システムを導入するのに使われる予定であると当時の発表では伝えられた)[4]

こういった米国における有機フッ素化合物汚染の対策措置に対する需要には注目が集められているが、今回紹介した活性炭はもちろんのこと、それ以外の除去材料の研究開発も進んでいる。そのひとつがβ-Cyclodextrinポリマーであり、最近ではノースウエスタン大学研究チームが2017年に、活性炭と比較してPFOAの親和性が10倍高いβ-Cyclodextrinポリマーを論文で発表した[5]。開発されたポリマーは現在、この研究を率いるノースウエスタン大学のDichtel教授が創立したCycloPure社にて商業化が進められているという。

[1] HYDRODARCO 4000の仕様は以下の資料に掲載。
http://www.cabotcorp.jp/~/media/files/infosheets/activated-carbon/infosheet-removal-of-pfas-from-ground-and-surface-water.pdf

[2] EWBJ59号に関連記事あり「米EPA、PFOAとPFOSに関する飲料水健康注意情報を発表

[3] EWBJ63号に関連記事あり「米27州の水道水、有機フッ素化合物で汚染

[4] EWBJ60号に関連記事あり「米でPFOA・PFOSによる水道水汚染をめぐる訴訟――Daikinは和解、3Mは今後も争う構え

[5] EWBJ63号に関連記事あり「飲用水からPFOAを除去する新材料の開発

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