中国9つの行政機関、「農村生活汚水対策の推進に関する指導意見」を発表――悪臭汚水対策など8つの重点課題を打ち出す

中国の生態環境部など9つの行政機関は、2019年7月3日、「農村生活汚水対策の推進に関する指導意見」を発表した。同意見では、以下の目標が掲げられている。

  • 2020年までに、東部地域、中部・西部地域の都市近郊区など基礎や条件の整った地域において、農村生活汚水対策の効率を顕著に引き上げ、村における汚水の横流や無秩序な排出・放流などの問題をほぼ解決し、維持管理や保護の枠組みを確立する。
  • 中部・西部地域で基礎がしっかりとし、基本的な条件を備えた地域において、農村の生活汚水の無秩序な排出・放流を効果的に規制し、対策における効果(初期成果)を達成する。
  • 辺鄙な地域や経済的に遅れた地域などで、農村生活汚水の無秩序な排出・放流という問題を顕著に抑制する。

同意見では、以下の8つを農村生活汚水対策における重点課題としている。

1. 現状についての全面的な調査 農村生活汚水の発生総量や割合、村における無秩序な汚水の排出、水域汚染などの現状について調査する。既存の処理施設の数、配置、稼働状況を整理し、村周辺の環境、とりわけ水環境の環境容量について分析する。
2. 行動計画の合理的な策定 現在の業務について考慮した上で、目標とする課題、対策を講じる方法、地域における配置、建設の順序、資金の保障などについて合理的に確定する。
3. 技術モデルの合理的な選択 その土地の状況に応じて、汚染対策と資源利用、工学的措置と生態学的措置、集中と分散を組み合わせた建設モデルおよび処理工程を採用する。
4. 生活用水の循環利用の促進 高水準の農地作りや、灌漑排水施設の建設、農村生活汚水対策を互いに組み合わせ、統一的な計画や一体型の設計を行い、農業用水の安全性確保を前提として、農業農村における水資源の良好な循環を実現する。
5. 標準の制改定を急ぐ 地域・等級別、寛大さと厳格さの調和、再利用優先、実効重視、容易な管理監督という原則に従って、当地域の農村生活汚水処理・排出標準の制改定を急ぐ。
6. 建設および管理保護の枠組みの整備 計画・設計段階において、プロジェクトの建設や運営維持について統一的に計画する。
行政手順の簡素化を図り、建設の進度を保障する。
7. 農村におけるトイレ革命の統一的な推進 農村の生活汚水対策とトイレ革命を統一的に計画する。
8. 農村の悪臭汚水(黒臭水)対策の推進 等級ごとの管理、分類に従った対策、段階的な推進という方針に従って、汚染源の管理や汚染の遮断、ゴミ処理、浚渫、水域浄化など総合的な措置を講じて水生態系の回復を図る。

なお、全国的に農村部排水処理施設の普及改善状況が遅れるなか、浙江省、上海市、江蘇省をはじめとする一部の沿海地域では地方政府の推進のもと、その整備事業が比較的ハイスピードで進んでいる。浙江省の場合、2014年の1年間だけでも30億人民元以上の資金を農村排水処理普及分野に投入している。一方で、中西部地域では明らかに遅れている

図 各地方における生活排水処理能力を有する(処理率ではない)行政村の割合(%)
(出典:各種データよりエンヴィックス作成)

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