第48号(2013年11月発行) – Siemensの水事業再編

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EnviX「水ビジネス・ジャーナル」48号(2013年11月発行)の目次と主要トピックをお伝えします。

はじめに

2012年秋に公表されたSiemensの水事業再編ですが、それから約1年経った2013年11月6日にようやくその事業売却先が発表されました。売却先は米国のプライベート・エクイティであるAEA Investorsで、その売却額は6億4000万ユーロ(約860億円)とのことです。この事業売却については、他部門とのシナジーが少なかったことがその理由として挙げられております。今後Siemensは完全に水ビジネスから撤退するわけではなく、浄水・下水処理プラントや海水淡水化プラントの運転のオートメーションなどといった、自社のコア技術との相性が良い事業を継続していきます。

さて、Siemensの水ビジネスのこれまでの経緯を簡単にまとめたいと思います(下図)。

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図:Siemensの水ビジネスにおける主な動向(各種資料をもとにEnviX作成)

まず、2004年のUSFilterの買収が同社の水ビジネスへの本格的な参入のスタートだと言われております。かねてより水市場への進出を試みていた同社は、このUSFilterの買収によって北米での浄水処理および廃水処理ビジネスのトップの座に躍り出ました。また、Siemensの最大のライバルともいえるGEも以前から水ビジネス参入を始めており、その点からもこのUSFilter買収はSiemensにとって非常に大きな意味を持っております。その後2007年には米国の水処理関連企業を4社買収し、水の殺菌処理および超純水製造などの事業ポートフォリオの拡張を進めてきました。
一方、アジア市場への展開も盛んにおこなわれてきました。2006年には北京のCNC Water Technologyを買収し、2008年にはシンガポールのChemitreat Groupを買収しました。前者は中国市場を、後者は東南アジア市場の展開強化を図ったものです。
その他にも、ドイツの膜メーカーであるinge AGとの提携や、鉱業用フィルタのIndustrial Process Machinery社の買収、Cambridge Water Technology社の買収などを実施し、その事業範囲および進出市場を拡大してきました。

2008年にシカゴで開催された水ビジネス・ショーWEFTECにおいて、Siemens Water Technologies の当時のCEOであるChuck Gordon氏は同社の強みとして以下を挙げています。

  • 広範なビジネス・ポートフォリオ
  • 研究開発への投資(当時は業界平均の2倍の資金を研究開発に投資していた)

しかしながら、今回の事業売却では、そのビジネス・ポートフォリオの見直しが目的として掲げられております。他部門とのシナジーが少ない水処理分野を中心に売却することで、事業の合理化を図ることが狙いだからです。過去に自社の強みとして挙げていた広範なビジネス・ポートフォリオを、いまでは事業再編の対象としている点が注目に値します。このようなSiemensの参入から売却に至るまでの経緯というのは、今後の水ビジネスの在り方を考える上で参考になるのではないでしょうか。

また、48号ではベトナムの上下水道市場を特集として取り上げております。ベトナムではいまPPP関連規制の改正が検討されており、これが実現すれば同国への上下水道事業への民間企業の進出が促進されると見込まれております。そこで今回の特集では、ベトナムにおける水ビジネス関連の規制体系や、他の企業の進出動向などを整理し、お伝えしております。

中国水市場コラムでは、国内の給水市場にスポットを当てております。都市化にともなうインフラ整備への需要が高まるなかで、この給水市場はさらに成長していくと予測されています。ここでは、十二次五カ年計画をはじめとした関連政策や、主要中国企業の概要、そして今後の展望をまとめております。

巻頭トピック

  • Siemens、水ビジネス部門の一部をAEA Investorsに売却することを正式に発表
  • Grundfos、殺菌技術のISIAを買収
  • DowとDe Lage Landen Financial Services、逆浸透膜エレメントの業界初のリース・プログラムを発表
  • 中国、節水型の都市を建設し、汚水の再生利用を進めるとの方針示す
  • 多国籍企業を初めとして高まるアフリカ水市場への投資熱――アフリカ市場の将来性を確信

特集

ベトナムでの上下水道事業:現状と展望

中国水市場コラム

中国都市部における給水事業の発展状況と課題

主要プレーヤーの動向

Veolia

  • Veolia Water(2013年9月~11月の主な動向)
  • Veolia Water、カナダ・サックビル町の水処理プラントの運用契約を5年間更新するも、一部の議員からは不満の声が
  • インドでのPPPの成功には政治の支援が必要――Veolia Water Indiaの最高幹部が語る
  • Veolia Environment、下水処理プラント排出水中の内分泌攪乱物質の検出手法の開発に関してWatchFrogとの提携を継続
  • Veolia Water、セントルイス市へのコンサルティング契約の提案を取り下げ

Suez

  • Suez Environment(2013年9月~11月の主な動向)
  • Suez Environment、バルセロナ大都市圏との水関連契約を35年延長――総契約額は120億ユーロ超
  • Suez Environment、インド2都市において2件の水管理契約を獲得
  • Lyonnaise des Eaux、フランス・ミュルーズでリモート検針の契約を獲得
  • スエズ子会社のユナイテッド・ウォーター、米国ベイヨンにおける新たなビジネスモデルの成功を発表

GE

  • GE(2013年9月~11月の主な動向)
  • GEとmemsys、蒸気圧縮機駆動式の新たな水処理用膜蒸留システムの実証試験に成功
  • GE、ロシア最大の石油精製施設に廃水処理技術を提供
  • GEとSasol、廃水処理でバイオガスを生産する “AnMBR”技術を開発
  • GE、アルバータ州におけるオイルサンド採掘の環境パフォーマンス向上に技術と人材を投入

Siemens

  • Siemens(2013年9月~11月の主な動向)
  • Siemensの水事業売却計画、順調に進行中――売却先としては米国企業が有望か
  • Siemens、水技術部門をプライベート・エクイティに売却へ

研究開発動向

  • SUTD、MITなどの国際研究者チーム、プラズマ処理カーボンナノチューブを利用した優れた塩分除去機能を有する浄水器用ろ過膜を開発
  • 米国パデュー大学、日光を利用して安全な飲用水を生産する殺菌システムを開発――スケールアップが今後の課題
  • ニューヨーク州立大学、水中の汚染物質を生分解性化合物へと分解する「ナノグリッド」を開発――原油流出事故の対応やシェールガス採掘の廃水処理に期待

注目企業の戦略動向

  • ACCIONA Agua、スペイン初のスマート・ウォーター・グリッドを西部のカセレスで構築へ
  • 米Advanced Hydro社、スピンオフベンチャーを活用しテキサス州などでの資源採掘に水ソリーションを提供――水圧破砕用の水需要に汽水淡水化技術を活用
  • BluMetric社、カナダでのLG製水処理膜の独占販売契約に合意
  • 豪Carnegie社、世界初の波力発電による海水淡水化プロジェクトを発表
  • 斗山重工業、チリのエスコンディーダ鉱山で海水淡水化プラントプロジェクトを受注――同社にとって中南米で初となる契約
  • Ecosphere、フラッキング流体の処理で成長
  • シンガポール政府投資公社、ブラジルの上下水道事業会社に3億レアルを投資
  • GS建設傘下のGS InimaにIWAのプロジェクト・イノベーション賞
  • 米国Global Water Technologies社、2社の買収を発表――スマート・ウォーター分野でビジネスチャンスを拡大
  • 逆浸透膜のNanoH2O、溧陽に生産工場を建設して中国の水市場に本格進出へ
  • Sembcorp、中国で石炭液化プロジェクトをサポートする総合水管理プラントを建設――廃液排出ゼロ(ZLD)技術の実現を目指す
  • 韓国の東レ尖端素材、ウンジンケミカルを買収――水処理ビジネスにおける国際競争力強化をめざす
  • VA Tech Wabag、外国企業を買収へ――技術力の向上と市場拡大を目指す
  • VCS Denmark、ミャンマーにて上水道管網建設に向けたフィージビリティ調査をまもなく終了
  • Xylem、イスラエルMekorotと先進技術の評価に関する協力協定を締結
  • 中滔環保集団有限公司、香港証券取引所に上場――汚泥処理市場進出を目指す

地域別の市場・政策・規制動向

欧州

  • 水質基準に関する新しいEU指令が公布――薬剤の取り締まりを強化
  • 欧州環境庁、多くのEU加盟国で効率的な水使用を促すような料金徴収が実施されていないと報告
  • 英国、2050年までに4つの地方自治体の海水淡水化プラントを稼働させる可能性があるとIChemEが予測
  • ジャーマン・ウォーター・パートナーシップ、インドに進出――第1回大会を開催
  • フランス、中国・湖北省におけるエコ都市建設プロジェクトについて事前合意を締結

米州

  • シェール・ガス開発の急成長で関連環境サービス企業に大きなビジネス・チャンス
  • 米国カリフォルニア州が全米初の飲用水中に含まれる六価クロムの基準値案を発表
  • カリフォルニア州サンタポーラ市の水リサイクル施設、PPPで低コスト化と水質向上を実現
  • 米国環境保護庁新長官が3つの重要規制分野として「CO2」「化学物質」「水」を挙げる

アジア

  • 中国の排出基準の発展状況――国内メディアがレポート
  • 中国湖北省、最も厳しい水資源新制度を打ち出す――2020年に向けた具体的目標を掲げる
  • 中国北京市、水資源関連対策として、今後再生水の利用に取り組む見通し
  • 中国国務院常務会議、「都市・鎮の排水・汚水処理条例(草案)」を可決――今後汚水処理施設等関連施設を拡充していく方針
  • 中国、国内の汚泥処理業界は高度成長期に入る見通し――国内メディア報道
  • 中国環境保護部、「水解酸化反応器汚水処理工程技術規範(意見募集稿)」を公布
  • 台湾環境保護署、「化学工業放流水基準」の草案を公表
  • 韓国、官民の専門家グループをタイとスリランカに派遣――水資源政策の助言とともに水道市場への参入を狙う
  • WBCSD、インド国内企業に向けて水利用の効率的な管理を支援する無料ツールを発表
  • インド・ケララ州、日々増え続ける下水プラントの汚泥の処分策未だ見つからず
  • タイ、水資源管理の一元化に向けて2013年末までに法案提出を予定――骨子となる10の項目を公開
  • オーストラリアNCEDA、助成対象として4件の海水淡水化研究を採択、総額225万ドルを投じると発表

その他

  • ロシア政府、水供給と水処理に関する新たな政令を公布
  • ガーナの水問題にイスラエルが技術協力へ
  • イスラエル、中国政府関係者の訪問を受け、巨大な中国市場にも応えられる高度な水処理技術を示す
  • オマーン、クラヤットの造水プロジェクトに日本、シンガポール、スペイン、UAEから12の企業が入札