第50号(2014年5月発行) – 鉱業分野での水処理にVeoliaやSuezなどが積極的姿勢

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EnviX「水ビジネス・ジャーナル」50号(2014年5月発行)の目次と主要トピックをお伝えします。

はじめに

経済の発展にともない様々な電子機器が世界中で普及するなか、その一部としてそれらを支えているのが銅や金をはじめとする各種鉱物であり、その生産量は増大しつつあります。また同様に、エネルギー需要の拡大によって石炭や天然ガスなどの資源の採掘も増加の一途をたどっております。そして、これら天然資源の開発におけるキーワードのひとつとして水が挙げられます。例えば、1トンの石炭を採掘、処理、輸送する上で必要とされる水の量は約3~10m3と推定されております。鉱業分野全体で今後さらに生産量が拡大するものと予想されるため、同分野における水に関するソリューションへの期待は高まると見込まれます。なお、国別の鉱業分野での水市場規模は下図の通りです。オーストラリアがトップですが、その後には南米や北米の国が集中していることが分かります。

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図 鉱業分野における国別の水市場規模
(出典:GWI, Water for Mining)

このような市場の拡大が予想される鉱業分野において成長を目指している企業がVeoliaとSuezの2社になります。今回のEWBJ50号でも以下のタイトルで取り上げているように、両社は鉱業分野への積極的な姿勢を示しております。Suezにおいては、企業買収によって、同分野に対して素早い攻勢を仕掛けることを狙っているようです。

  • Veolia、規制強化の中で鉱業分野での水処理事業の成長を目指す
  • Suez Environnement、石油・ガス分野での水処理事業の強化に向けて企業買収を検討

また、イスラエルのIDE Technologiesも鉱業分野でのビジネスチャンスを目論んでいる企業のひとつです。IDEは、鉱山開発において海水淡水化による水の確保が義務化される動きのある、南米の複数の国での商機を目指しております*1。さらに、この動きは韓国の斗山重工業(Doosan)も同様で、同社は2013年8月に初めて南米において海水淡水化プラントを受注しました*2。このプロジェクトは、チリのエスコンディーダ鉱山に用水を供給するための海水淡水化プラントの建設になります。なお、入札ではスペインのAccionaや、Suezの子会社であるDegrémont、そして先ほど挙げたIDEに競り勝ったと報道されております。

世界の水ビジネスにおける複数の主要企業が鉱業分野での水ソリューションに名乗りを上げ始めており、今後ますます競争が熾烈になるものと予想されます。そのため、これら競合他社の展開や関連規制を把握することの重要性がさらに高まるでしょう。今後もEWBJでは、鉱業分野での企業や規制の動向を継続して報告していきます。

その他、EWBJ50号の中国水市場コラムでは、国内の工業排水市場にスポットを当て、その関連政策や主要中国企業の概要、そして今後の展望をまとめております。

*1 EWBJ50号に関連記事有り「IDE Technologies、中南米で淡水化等の事業を拡大へ*2 EWBJ48号に関連記事有り「斗山重工業、チリのエスコンディーダ鉱山で海水淡水化プラントプロジェクトを受注――同社にとって中南米で初となる契約

巻頭トピック

  • 韓国LG化学、水処理膜ビジネスを強化するために米国NanoH2O社を2億ドルで買収
  • Hyflux、アフリカ市場への進出を強化
  • 北控水務集団、インドネシア・メダン市の水コンセッション契約を獲得――同国の水市場に初進出
  • 米国アリゾナ州、25年後には水危機に直面――淡水化プラントの建設を選択肢に
  • パラグアイの上下水道整備プロジェクト、イスラエルの国家水資源大臣が技術支援及び融資の意思を表明
  • Anglo Americanによる炭鉱廃水の飲用水化、いまや業界のモデルに――南アフリカ

中国水市場コラム

中国における工業排水処理事業の発展現状と課題

主要プレーヤーの動向

Veolia

  • Veolia Water(2014年3月~5月の主な動向)
  • Veolia Waterの元社員、給水停止措置の許否を理由とする解雇を不服として提訴
  • Veolia、規制強化の中で鉱業分野での水処理事業の成長を目指す――2020年までに鉱業分野で売上21億ドルを目標に
  • 中国・蘭州市の水道水汚染でLanzhou Veoliaの会長が謝罪

Suez

  • Suez Environment(2014年3月~5月の主な動向)
  • Degrémont、ナイジェリアにおける飲用水製造プラント建設プロジェクトを受注
  • Suez Environnement、インド3都市から合計6100万ユーロの水関連契約を受注
  • Suez Environnement、石油・ガス分野での水処理事業の強化に向けて企業買収を検討
  • Suez Environnement、水サイクル事業のノウハウ提供でアゼルバイジャンと契約

GE

  • GE(2014年3月~5月の主な動向)
  • GEのABMet技術、Anglo American傘下のカナダの炭鉱で採用
  • GEとSaudi Aramco、海水淡水化技術のエネルギー効率向上、コスト低減を目指し20万USDのコンテストを開催
  • GEの最新技術、イタリア南部の油田で油汚濁水を最大98%リサイクル

研究開発動向

  • MITなどの研究チーム、グラフェンに任意の大きさの孔を穿つ技術を開発
  • グラフェン酸化物構造体で淡水化の速度が100倍に

注目企業の戦略動向

  • Abengoa、中国金科水務の株式を25%取得――中国市場への展開を加速
  • 英国Aquiva Foundation、モルディブGulhi 島でディーゼル発電の廃熱を利用した海水淡水化プロジェクトを実施
  • 米プライベート・エクイティClayton, Dubilier & Rice、18億ドルでAshland Water Technologiesを買収へ
  • インドのポンプ最大手CRI Pumps、イタリアのポンプメーカーFIPSを買収
  • Desalitech、Veoliaと提携してメキシコなどで先進的水処理ソリューションを提供へ
  • 米国Envirogen technologies社およびカナダInotec社、バイオリアクターの性能向上を目指し共同技術開発へ
  • IBM、インド・バンガロール上下水道局に配水システムの管理のためのビッグデータ解析を構築
  • IDE Technologies、中南米で淡水化等の事業を拡大へ
  • inge社と仏Aquasource社、UF膜分野における技術革新を目指し長期的な協力協定を締結
  • 独フィルター大手MANN+HUMMEL、地理的勢力の拡大を図り、独MICRODYN-NADIR社の株式を50%取得
  • Modern Water、中国のFO膜市場を重要視
  • 英国Mott MacDonald、ニュージーランドの水処理専門企業AWTを買収
  • 韓国のサムスン物産、パラグアイ公共事業大臣と面談し、パラグアイ水道公社による浄水プラント建設マスタープランへの参加意向を表明
  • インドVoltas LimitedとDow Chemical Pacificがジョイント・ベンチャーを設立、インドの水処理市場に参入
  • 米国Water Planet Engineering社、PolyCera膜の商用生産に向けて3Mと共同開発契約を締結

地域別の市場・政策・規制動向

国際

  • 水管理の世界基準が発表に、2014年内には認証制度も――ただし欧州企業は欧州の基準を使うほうが得策

欧州

  • EU、水への権利の保障を約束――190万人の署名に応え
  • EUの水質汚染物質の監視リストに亜鉛とシアン化物を追加か、欧州委員会の素案
  • EU基準の制定など再利用水の使用促進策をコンサル会社が提示、欧州委の委託で
  • 英国、上下水道事業者を選択する自由を企業等の顧客に与える2014年水法が成立
  • スペインの都市水道法案、民間による水道事業への投資の呼び水に

米州

  • 米テキサス州・サンアントニオ水道局、淡水化プロジェクトの拡張を選択
  • 米でコミュニティの生活の質向上をめざすボランティア団体結成――水道と土木の全米規模の3団体が協力
  • 米国コネチカット州の環境団体ら、水圧破砕廃水の処理等の禁止を要求
  • 米国デトロイト市、上下水道民営化の提案を募集
  • 米国カリフォルニア州水資源管理委員会、水再利用プロジェクトに低利融資の実施を決定
  • 米国上院に水の使用効率改善等をはかる4本の法案上程――スマート・ウォーターの推進に向けて
  • 米国行政管理予算局、飲料水中の懸念される汚染物に関する環境保護庁の規制上の決定について審査を終了
  • 米カリフォルニア州公衆衛生局、六価クロムの飲料水基準の2014年中の施行を見込む
  • 米カリフォルニア州OEHHA、5物質について飲用水の公衆衛生目標値を改定
  • 米カリフォルニア州エネルギー委員会、便器等の節水基準改正案についてワークショップを開催
  • メキシコ保健省、ボトル飲料水および氷製品の衛生基準を定める規約案公布
  • メキシコ国家水資源庁長官と韓国の国土交通省副大臣との会談で、韓国政府による水インフラ事業への投資意欲が確認される
  • メキシコの地理・統計局、世界水の日に向けて2012年の統計データ報告書を公表――排水の80%は処理されていないことなどが報告される
  • メキシコ大統領、2014~2018年水資源国家プログラムを承認する政令公布
  • ベネズエラ政府、ブラジル企業への上下水道などのインフラ請負工事費20~25億ドルが未払い――その70%はOdebrecht社向け
  • ベネズエラ大統領、国家水計画に26億ドルの投入を承認
  • ブラジル・サンパウロ州の下水道普及に向けて2020年までに350億レアルの投資が必要――ブラジル民間団体の報告書
  • ペルー環境省、淡水化プラントの排水基準を定める政令案を公布
  • パラグアイ公共事業・通信省副大臣、PPPにより上下水道整備、発電、運輸プロジェクトに95億ドルの投資が必要と発表
  • ボリビア、コンセッション方式で水事業を運営する共同組合数が過去5年で18から2100に増加
  • チリ環境省、工業排水の分類、測定、管理方法に関する規則を定める決議書を公布

アジア

  • 中国環境保護部、2014年7月1日施行される「湖北省水質汚染防止条例」の5つの注目点を解説
  • 中国環境保護部、汚染地に関連する一連の環境標準を公布
  • 中国におけるMBR技術、コスト低下によって将来的には普及する見込み
  • 中国環境保護部、「土壌汚染対策行動計画」を策定、近いうちに公表へ
  • 中国天津濱海新区再生水プラント稼働、年間1000万トンの地下水の節約が可能に
  • 中国水利部、農村部における深刻な飲料水安全問題を発表――地域間用水権取引制度の導入を模索
  • 中国環境保護部、国内初の全国土壌汚染状況調査公報を公表、今後の対策を表明
  • 中国、国内河川の汚染状況をまとめた調査結果が公表される――河川水から検出された抗生物質は68種類にも及ぶ
  • 台湾、水集約型産業に対する水の使用料金の値上げを検討――節水設備導入の促進を目指す
  • インドネシア・ジャカルタの水道民営化はきれいな水への権利を阻害――イギリスの学者が法廷証言
  • インド・マハーラーシュトラ州、工業施設や居住用・商業用ビルなどに対する厳格な下水処理基準を提案
  • インドで水リスクが企業活動の存続を脅かすとの報告

その他

  • ロシア・モスクワ、市民による水道水の使用量が10年で半減
  • サウジアラビア、2020年までに海水淡水化プロジェクトに18億ドルを支出――エネルギー効率向上が課題