第52号(2014年11月発行) – スマート・ウォーター市場、VeoliaやSuezなどの水メジャーが進出

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EnviX「水ビジネス・ジャーナル」52号(2014年11月発行)の目次と主要トピックをお伝えします。

はじめに

水ビジネスと一口に言っても様々な分野がありますが、「スマート・ウォーター」はそのなかでも今後の成長性が期待されている領域です。電気・ガス・水道などのユーティリティ事業者に対して各種メーターやシステムを導入しているグローバル企業のSensus社が2012年に公表した報告書*1によると、世界でスマート・ウォーターシステムが導入されることで、年間125億ドルものコスト削減が可能になるといいます(下図)。このためスマート・ウォーターに関連する市場は今後成長し、米国Transparency Market Research社の市場レポートでは2019年には150億ドル以上になると予測されています。

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図 スマート・ウォーターシステムの導入によるコスト削減効果の内訳
(出典:Sensus, “Water 20/20 Bringing Smart Water Network Info Focus”をもとにEnviX作成)

現在は北米市場が大部分を占めていますが、新興国での水道インフラの新設および先進国での水道インフラの改修といったニーズも高まりつつあります。その要因のひとつが無収水(NRW:Non-Revenue Water)です。東南アジアや中南米の新興国ではNRWが30%以上の国が数多くあります(下図)。以下に示した国のなかではフィリピンが最大で、50%を超えています。つまり、処理された後に水道管を通して送られる水の半分以上が、漏水や盗水などによって失われてしまい、収益につながっていないのです。ただし気を付けていただきたいのは、下に示したデータはあくまで国ごとの値であるため、各国内においても地域差があるという点です。例えば、EWBJ52号の巻頭トピックでもお伝えしているマレーシアのNRWは各州によって異なり、最少で18%、最大では60%を超えています。

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図 世界各国における無収水の割合
(出典:GrowingBlue, “Water. Economic. Life”をもとにEnviX作成)

さて、こういったNRWをはじめとした課題を解決するために、スマート・ウォーターに注目が集められていますが、様々な外資系企業が参入しています。例えばIBMは2000年代後半より水資源管理に進出しようとし、最近ではインド・バンガロール上下水道局における配水業務に対応するためのビッグデータおよび予測分析技術に基づく管理・モニタリングシステムを構築しました*2。一方で水メジャーのひとつVeoliaは、このIBMとのパートナーシップを発表し、水道管理に関するあらゆるデータの統合化、最適化を進めていくことを発表しました*3。さらに、もうひとつの水メジャーであるSuezもまたスマート・ウォーター事業に目をつけており、関連企業の買収を行っております*4。そのほかにも、いくつかの新興企業(例えばイスラエルのTaKaDuなど)も徐々に存在感を示しつつあります。

スマート・ウォーターは日本企業にはあまりなじみがない分野ですが、今後の水ビジネスのひとつのキーワードになると思われますので、是非その動向をウォッチしていくことをお勧めいたします。もちろん、このEWBJでも随時重要な情報を提供していきます。

また今号の特集では、カンボジアを例にして水BOPビジネスの可能性について紹介いたします。同国の水道および飲料水の現状を、都市や農村といったコミュニティの規模の差異から分析し、まとめております。そのうえで、カンボジアでの水BOPビジネスのために必要なことを提言したいと思います。

その他、今回の中国水市場コラムは「中国の再生水市場に関する動向」にスポットを当て、その関連政策や主要中国企業の概要、そして今後の展望をまとめております。

*1 Sensus, 2012: Water 20/20 Bringing Smart Water Network Info Focus
https://sensus.com/documents/10287/3906954/Sensus_Water2020-USweb.pdf/d67d0a75-255a-4a20-86f1-d4548bfcdf78

*2 EWBJ50号に関連記事有り「IBM、インド・バンガロール上下水道局に配水システムの管理のためのビッグデータ解析を構築」

*3 EWBJ52号に関連記事有り「VeoliaとIBM、都市向け水・エネルギー・廃棄物サービスの刷新に新たなデジタル・アーバン・ソリューションの提供で提携」

*4 EWBJ52号に関連記事有り「Suez Environnement、ニュージーランドのDercetoを買収」

 

巻頭トピック

  • GLV、パルプ・製紙部門を売却して水処理専門に――社名もOvivoに改称
  • KKRとCitic、United Envirotechの買収に向けて準備
  • IDE Technologies、親会社のICL GroupとDelek Groupが売却を検討しているとの報道
  • マレーシア、無収水対策のための政策を準備
  • 米カリフォルニア州の自治体、水リサイクル志向強まる

特集

水BOPビジネスの市場可能性を考える――カンボジアの水事情を踏まえて

中国水市場コラム

中国の再生水市場に関する動向

主要プレーヤーの動向

Veolia

  • Veolia Water(2014年9月~11月の主な動向)
  • VeoliaとIBM、都市向け水・エネルギー・廃棄物サービスの刷新に新たなデジタル・アーバン・ソリューションの提供で提携

Suez

  • Suez Environnement(2014年9月~11月の主な動向)
  • Suez Environnement、ニュージーランドのDercetoを買収
  • Suez Environnement、リール都市共同体への飲用水供給事業の失注の危機

GE

  • GE(2014年9月~11月の主な動向)
  • GE、産業廃水から再生可能エネルギーを生産――膜ベースの新技術で

研究開発動向

  • シンガポール南洋理工大のスタートアップ企業、革新的な多機能膜を開発
  • 正浸透プロセスで重金属イオンを効果的に除去

注目企業の戦略動向

  • ACCIONA、ブラジルを下水処理事業の戦略国と位置付け
  • ACCIONA AguaとSojex OmanのJV、オマーン国営のMajisよりRO淡水化プラントの運営・保守契約を受注
  • Aquarion、ロシアに進出――石油・ガス産業向け水市場に狙い
  • BASF、カナダにおける独占販売権をCCCと契約
  • Cambi社、中国市場に進出――北京で5件の汚泥処理プロジェクトに技術提供
  • Dow Water & Process Solutions、顧客向けアプリにIBMクラウドを採用――水処理のモデリングをより速く、効果的に
  • IDE Technologies、カナダ・アルバータ州のオイルサンド開発に伴う水処理市場開拓に向けてFair Canada Engineeringと提携
  • Itronとi2O Water、スマート水圧管理ソリューションで提携
  • イスラエルの国有水道会社Mekorot、カザフスタンで水資源開発プロジェクトを実施――2000万ドル規模
  • Modern WaterとNorthumbrianのJV、ジブラルタルの下水処理プラントの入札で優先交渉権を獲得
    Oasys Water、中国で正浸透ブライン濃縮装置を受注
  • RWL Water、アルゼンチン南部で1000万ドルの海水淡水化プロジェクトを受注――10年越しの努力実る
  • United Envirotech、中国四川省で現地企業と合弁会社設立
  • 中国・国中水務、デンマーク企業などと三者MOUを締結――中国国内での海外技術のさらなる導入を目指す

地域別の市場・政策・規制動向

国際

  • シェール・ガスやタイト・オイルの採掘、深刻な水ストレスに直面
  • 英米企業が世界の企業による水リスクの理解と数値化に役立つオンライン財務モデルを発表

欧州

  • ドイツGWPの2014年次大会、「グローバル水市場への攻勢」を全面アピール
  • ドイツGWP、水部門の能力開発ガイドラインを発行――現地人材育成をマニュアル化
  • スペイン、淡水化プラントの有益性に疑問――第3回水資源管理・国土戦略管理計画コンファレンスでの主要結論のひとつに
  • スイス連邦議会、下水のマイクロ汚染除去対策を国主導で推進する法案を可決
  • オーストリアのミネラルウォーター、21のサンプルのうち4つから残留農薬を検出

米州

  • 米上下院に節水法案上程――EPAのWaterSenseプログラムを支援
  • シェール・ガス採掘による水質汚染、原因は水圧破砕ではなくガス井の欠陥――最新の研究で明らかに
  • 米で下水中の医薬品等が浅層地下水を汚染
  • 米カリフォルニア州OEHHA、9物質について飲料水の公衆衛生目標値改正の手続きを開始
  • 米ニューメキシコ州、石油掘削水再利用の許可を検討中
  • メキシコ環境省、水洗トイレタンク、バルブ、シャワーなど節水関連機器の認証方法を規定する合意書公布
  • メキシコ国家水委員会CONAGUA局長、エネルギー改革法の記者会見で、水圧破砕を擁護
  • メキシコ大統領、2013年9月から2014年8月までの水インフラ関連事業を含む年次活動報告書を発表
  • 韓国の環境省、メキシコ・ベラクルス市の16万の住民対象の下水設備改善基本計画を作成
  • コロンビア住宅省、汚職防止を考慮した新しい水インフラ事業契約方法導入を発表
  • ペルー・リマ市の上下水道サービス公社民営化に反対し、市民や労働者3千人がデモ
  • ペルー住宅省、2012年までに上下水道部門へUS$184億投資し、上下水道普及を100%とする国家上下水投資計画を発表
  • ブラジルのNGO、1億400万人の国民は下水処理へのアクセスがないと発表

アジア

  • 中国全土で47%の都市下水処理場が市場化運営を実現
  • 中国土壌汚染浄化プロジェクト実施の概況、政府が重要な役割
  • 中国・環境保護部、都市下水処理場排出基準を2015年に公布予定――高度水処理市場の拡大が見込まれる
  • 中国、土壌汚染防止法は2017年までに公布される見込み――土壌データ記録制度の導入も視野に
  • 中国、MBR産業発展白書を発表――黄金の十年を迎える中国MBR市場
  • 中国、2014年上半期にすでに年間の水汚染防止目標を達成、同時に3260億ドルの水浄化アクションプランも公表
  • 中国農村部、将来の巨大な水市場に――BEWGの幹部が語る
  • 中国初の正浸透技術を用いた工業排水ゼロ実験室が開設
  • ベトナム、排水および排水処理に関する政令80/2014/ND-CP号を公布
  • ベトナム、ドンナイ川流域の排水システムと下水処理計画
  • インド・ラジャスタン州、州内の水処理についてHyfluxの協力を期待

その他

  • イランのエネルギー省、水不足深刻化のために節水措置を強化し、水の海外調達を検討