第53号(2015年2月発行) – 水ビジネスに関連する様々な法律・規則

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EnviX「水ビジネス・ジャーナル」53号(2015年2月発行)の目次と主要トピックをお伝えします。

はじめに

前号、前々号はスマート・ウォーター、再生水といった水ビジネスの特定分野についてこの「はじめに」で触れましたが、今回のEWBJ53号では水ビジネスに関連する様々な「法律・規則」について最近の動向を簡単に紹介したいと思います。

法律や各種基準などは基本的には遵守しなければならなく、企業活動にネガティブな影響を与えるものという印象がありますが、それを逆手にとってビジネスチャンスと捉えるべきでしょう。例えば基準値が強化されることで、高度な技術力をもつ企業にはその市場での拡大の可能性が開けます。具体的には、いま中国では都市下水処理場排出基準の改正が検討されており、2015年には公布される予定となっています*1。排水基準が一旦強化されれば、高度水処理が有望な市場となり、有機汚染物質、無機汚染物質、および、各種の新規汚染物質を、いままで以上に厳格に処理する必要性が生じるため、膜分離活性汚泥法(MBR)をはじめとした応用処理工程へのニーズが更に拡大するものと見込まれております。中国の大手証券会社の予測によると、2014~2018年にかけての都市部下水処理施設の「提標改造」(排水基準の強化、および、それに対応するための更新事業)の規模は、1400万m3/日に達し、投資規模は100億人民元を超えるものと期待されているそうです。また、世界的水プレーヤーであるVeoliaは、各国での鉱業事業分野における環境規制強化をチャンスとして、現在攻勢をかけています*2

一方で、水ビジネス企業に対して直接的に追い風となるような規則も、近年では多く公布されております。スペインでいま議論されている「都市水道法案」はその一例と言えるでしょう*3。同国政府は、一般家庭や企業に水を供給する地方自治体の水道事業への規制を、効率化などの観点から改正しようとしており、そのために都市水道法案を準備しています。この法案は、消費者に水を直接販売する地方自治体に対して、考え得る最良の代替事業者と比べて「持続可能性が高くて効率的である」ことを求めており、この持続可能性や効率性は収益性と投資収益率で判断されます。これが、スペインのAccionaやフランスのSuez Environnementなどの民間企業に有利にはたらく可能性があると言われております。そのほか、ペルーでは上下水道事業を近代化するために官民連携(PPP)の促進*4や、ベトナムでの下水処理プロジェクトに対する企業投資の優遇策を定めた政令*5などがあります。

以下に、水ビジネス市場の拡大において大きな役割を果たすと見込まれる各国の規制について、最近の主な動向をまとめましたのでご参考ください。

 

no_53_01図 各国における水ビジネスに関わる規則
出典:EnviX Water Business Journal

 

その他、今回の中国水市場コラムでは「中国水処理分野における上場企業の発展状況とトレンド」と題して、中国水企業の事業戦略をまとめました。中国国内で水ビジネスを展開する日本企業にとっては、競合となる彼らの現状を把握することが重要となってきておりますので、是非ご覧ください。

 

*1 EWBJ52号に関連記事有り「中国・環境保護部、都市下水処理場排出基準を2015年に公布予定–高度水処理市場の拡大が見込まれる」

*2 EWBJ50号に関連記事有り「Veolia、規制強化の中で鉱業分野での水処理事業の成長を目指す――2020年までに鉱業分野で売上21億ドルを目標に」

*3 EWBJ50号に関連記事有り「スペインの都市水道法案、民間による水道事業への投資の呼び水に」

*4 EWBJ47号に関連記事有り「ペルー、上下水道事業の近代化を促進するための法律を公布」

*5 EWBJ52号に関連記事有り「ベトナム、排水および排水処理に関する政令80/2014/ND-CP号を公布」

 

巻頭トピック

  • Ecolab、中南米におけるClariantの水処理部門を買収
  • FCC Aqualia、カタールで3億ユーロの下水プロジェクトを受注
  • 英国CDP、ジャパン150ウォーターレポートを発表――日本企業の水リスク認識薄く
  • 中国、汚水処理費徴収使用管理弁法を公布――汚水処理場への民間資本の参入を奨励
  • チリ下院、鉱石採掘に脱塩水の使用を義務づける法案を審議中

中国水市場コラム

中国水処理分野における上場企業の発展状況とトレンド

主要プレーヤーの動向

Veolia

  • Veolia Water(2014年12月~2015年2月の主な動向)
  • Veolia Environnement、循環型経済事業の売上高を2020年までに倍増させる方針
  • Veolia Environnement社、2016-2018年の人員削減計画と有機成長戦略の策定へ

Suez

  • Suez Environment(2014年12月~2015年2月の主な動向)
  • United Water、米ミドルタウンの水衛生システム管理で業務提携へ
  • Suez Environment、PoseidonとB&V Groupを買収――産業用水分野を拡張へ

GE

  • GE(2014年12月~2015年2月の主な動向)
  • GE、サウジアラビアにおける水再利用に関する白書を公開

研究開発動向

  • 海水淡水化と廃水再利用における正浸透技術の利用状況
  • 磁性グラフェン複合体で水中の病原体を除去

注目企業の戦略動向

  • Abenoga、メキシコでエル・サポティージョの上水プロジェクト向けの6億4000万ドルに上るノンリコース融資を締結
  • Abengoa、水関連プロジェクトの展開に向けて韓国建設大手Daelim社と覚書に署名
  • Abengoa、淡水化の研究でアブダビのMasdarと提携――共同パイロット・プロジェクトの一環として
  • Abengoa、サウジアラビアで世界最大級の太陽光による海水淡水化プラント建設
  • 米Black & Veatch、テネシー州のスーパーファンド・サイトの地下水処理システムの建設の管理へ
  • Desalitech、世界の水問題を睨み、事業拡張資金に1100万ドルを確保
  • FCC Aqualia社、メキシコとチリで4つの水インフラプロジェクト合計1億ユーロを落札
  • Modern WaterのMicrotox技術使用の連続毒性モニター、Aqua Americaが浄水プラントに初導入
  • Nanostone Water、Ulturaの膜事業を買収――セラミック膜とポリマー膜の技術を兼ね備えた企業に
  • C&E企業のRamboll、環境・安全・衛生コンサルティングのENVIRONを買収
  • TaKaDu、南アのJascoと提携し同国の水管理市場に参入
  • Xylem とMapal、エアレーション技術のタイアップを発表
  • Xylem、北米での三次処理用円盤型濾過システムの販売に向けて伊フィルタ会社Nuove Energie社と独占契約を締結
  • 桑徳国際、ADBから3億ドルの支援を受けて中国での農村下水管理の改善を目指す

地域別の市場・政策・規制動向

欧州

  • ドイツ政府、環境技術の輸出を国あげて支援――Greentech made in Germany開設
  • ドイツ、液体廃棄物や工業廃水のイノベーティブな再利用施設建設に国庫補助

米州

  • 加州サンディエゴ市議会、25億ドルの下水リサイクル計画を承認
  • 米ニュージャージー州議会、水道民営化の手続きを簡略化する法案を可決――住民投票が不要に
  • カリフォルニア州沿岸部の町、カンブリア、州の早期承認スキームを活用して淡水化プラント稼働へ
  • 米EPAに水インフラ・回復力資金センターを新設
  • 米環境保護庁、2016会計年度は飲料水関連プロジェクトの予算要求額を増額
  • メキシコ国家水委員会、飲料水や下水道サービス提供方法などを含む、水資源国家法公布の推進を発表
  • コロンビア住宅省、2014年の上下水道整備実績報告書発表――1億7000万米ドルで、155プロジェクトを実施
  • コロンビア国会、上下水道などのインフラプロジェクトの為の土地購入手続きを迅速化する法案を承認
  • ペルー、2021年までに上下水道を100%普及させるには民間との提携が必須に
  • ペルー・リマ市南部で、国内初の飲料水用淡水化プラントが2018年より稼動予定
  • チリ北部のコキンボ州で実施された淡水化プラントと排水再利用プラントの比較調査の結果が報告される
  • チリ下院に汚水処理プラントで処理された水を農業や鉱物資源開発に優先して使用するための衛生サービス法改正案が提出される
  • チリ銅資源局、銅鉱山の2014-2025年の水消費量見込みに関する報告書を発表――2025年までに海水利用率が36%となる見込み

アジア

  • 中国政府、アルゼンチンの水力発電所や上水道建設を含む、総額190億米ドルの15のプロジェクトへの参加の積極的な検討を表明
  • 中国、「水質汚染防止行動計画」を2014年12月に公布の見込み、水市場が飛躍的に拡大へ
  • 中国、環境汚染第三者対策の推進に関する意見を公表――環境汚染対策事業への民間資本の投資を呼び込む
  • 中国、国が発展を奨励する重大環境保護技術リスト(2014年版)を公布
  • 台湾、水汚染防止法を改正――違法排水に対する罰金を大幅に引き上げ、悪質あるいは重大な違反行為に対しては7500万円の罰金も
  • オーストラリアとベトナムの水道協会、上下水道の持続可能な発展で覚書
  • ベトナム・カントー市、2020年までに給水量約50万m3/日の達成に向けて多数のプロジェクトを展開
  • ミャンマー・ヤンゴン市、工場排水の基準遵守を確認するため年2回の監査を実施
  • ミャンマー、環境基準や産業別の排出基準を含む各種環境基準値(案)を公表
  • ミャンマーの最大都市ヤンゴンにおける水道インフラ――ネットワークの拡大や高い漏水率の改善が課題
  • インド中央公害管理局、排水モニタリングシステムに関するガイドラインを発行
  • インドのアーンドラ・プラデーシュ州、工業的用途のための水の割り当てを簡素化・迅速化する政策を発表
  • インド、過去3年間で工業セクターの水使用量が増加――さらなる増加は必至、節水対策は急務

その他

  • アラブ諸国、水不足の課題に取り組むために水需要の管理の必要性を問われる
  • サウジのSWCC、韓国のGMVPと淡水化技術で提携