第54号(2015年5月発行) – 2000年から2050年にかけて、水需要量は約5倍に成長する見込み

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EnviX「水ビジネス・ジャーナル」54号(2015年5月発行)の目次と主要トピックをお伝えします。

はじめに

水に関するリスクが世界中で顕在化しつつあるいま、様々な国際機関、国際NGOなどが警鐘を鳴らすための活動をおこなっております。2012年にOECDが発表した“OECD Environmental Outlook 2050”によると、人口の増加にともない世界全体の水需要量は増え続け、2050年には54億立方メートルに達すると予測されています(下図)。地域別に見ると、やはりBRIICS(ブラジル、ロシア、インド、インドネシア、中国、南アフリカ)での伸びが特に大きいことが分かります。またセクター別では農業分野が最大ではあるものの、需要の伸び率としては製造業が顕著であり2000年から2050年にかけて水需要量は約5倍に成長するものと見込まれています

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図 世界の水需要量予測
(出典:OECD Environmental Outlook 2050)

また、英国のCarbon Disclosure Project(CDP)*1は、水問題への企業の取組を評価しており、昨年10月には日本の大手企業150社を対象とした調査結果を発表しています*2。それによると、多くの日本企業が、直接の操業やサプライチェーンにおいて十分な量の良質な淡水が利用できることが重要であると認識している一方で、直接の操業とサプライチェーンの両方を対象として水リスクの評価を行っている企業はまだ少数派であることが明らかになりました。

このEWBJ54号でも、こういった水問題に関する最新の報告について紹介しています。国連は2015年3月に“World Water Development Report 2015”を公表し、世界中での水需要の増加と各地での水資源の効率的な利用に向けた取り組みをまとめております。このほか、NPO団体のCeresは米国の食品企業を対象とした水リスクへの取り組みを調査し、その結果を2015年5月に公表しました。調査した37社のうち23社では事業における水リスクの評価をはじめているという結果ですが、水質汚染の問題についてはまだ意識が低いということも分かりました。

一方で、こういった将来的な水のリスクを解消するうえで、ビジネスチャンスの拡大が見込まれます。例えば、工業用の水需要が大きくなれば、排水を再利用するといったニーズが高まると予想されます。また、水質汚染管理が強化され基準が厳しくなれば、従来よりも信頼性のある高度な処理技術に注目が集まるでしょう。このような付随的な水ビジネスのチャンスを逃さないためにも、世界の水資源の動向や関連する水問題にも目を向ける必要があります。

その他、今回の中国水市場コラムでは「中国の政策・発展方向の解説および水分野への影響」と題して、中国国内での水に関する最近の各種政策と水企業への影響をまとめました。

 

*1 世界中の機関投資家によって組織される国際NPO。水問題だけでなく、気候変動などの問題に対する企業の取り組みを評価している。世界中で時価総額の上位企業に対して関連する質問票を送付し、それらを集計し公開している。なお質問票への回答がなかった企業については、企業名が公開される。

*2 EWBJ53号に関連記事有り「英国CDP、ジャパン150ウォーターレポートを発表――日本企業の水リスク認識薄く」

 

巻頭トピック

  • Lockheed Martin、米国の石油・ガス産業向けナノテク・フィルターを開発中
  • Metito、ルワンダの水道用水供給プロジェクトを受注――アフリカでPPP拡大へ
  • Severn Trent、浄水事業を伊De Nora社に売却――上下水道サービスに集中していく意向
  • 世界水の日に向け、UNが2050年までに水需要が55%増加と予測
  • テキサス州南部の2都市、淡水化を検討――州議会も法的障害除去で後押しへ

中国水市場コラム

中国の政策・発展方向の解説および水分野への影響

主要プレーヤーの動向

Veolia

  • Veolia Water(2015年3月~5月の主な動向)

Suez

  • Suez Environment(2015年3月~5月の主な動向)
  • Suez Environnement、水道基盤のスマート・オペレーション・センターを開設
  • 全子会社の商号を“Suez Environnement”に統一
  • 国際投資調停機関、ブエノスアイレス市の上下水道サービスのコンセッション契約解消(2006年)による損害賠償4億米ドルをSuez Environneement社へ支払うよう、アルゼンチン政府に命令
  • Suez Environnement、シンガポールのPUBと研究プロジェクトで相互協力
  • Suez Environnement、米Envirogen社と北米電気事業の水・排水処理で提携

GE

  • GE(2015年3月~5月の主な動向)
  • GEとKemira、世界のパルプ・紙産業への水技術提供で提携

研究開発動向

  • ナノ多孔グラフェン膜の淡水化性能を実証――オークリッジ国立研究所
  • グラフェン膜の欠陥修復技術――米とサウジの共同研究

注目企業の戦略動向

  • Adionics、「スマート脱塩技術」を公表――2016年までに中東でパイロット試験を実施
  • スイスAquarion、膜技術の強化に向けてドイツのMFT社を買収
  • グラフェンを利用した水処理のArvia Technology、400万ポンドの資金を確保
  • CH2M Hill、インドのジャイプルの水不足対策でシンガポールのPUBおよび対外協力機関と連携
  • Hager + Elsaesserの東南アジア法人、この数ヵ月で2000万ドルを超える契約を獲得
  • Porifera、正浸透技術を使った実証プロジェクトがカリフォルニア州の補助金対象に――総額570万ドル
  • RWL Water、エジプトで大規模淡水化プラント建設へ――中東・北アフリカ地域進出の第一歩に
  • Xylem、 Veoliaと複数年グローバル契約を締結――優先パートナーに選ばれる

地域別の市場・政策・規制動向

国際

  • CDPサプライチェーン・レポート、サプライヤーによる水と気候変動のリスクへの対応進まずと報告
  • Ceres、世界の水リスクへの適応を食品・飲料企業に求める報告書を公表――水リスクへの取組では、Unilever、Coca-Cola、General Millsが上位に

欧州

  • EU諸国は水質汚染10物質についてデータ収集へ、欧州委が初の監視リスト発表
  • 仏ANSES、雑用水の家庭における再利用の潜在的健康リスクに関する報告書を公表
  • デンマーク、2025年までに水技術の輸出を倍増と公表

米州

  • 米ニュージャージー州で水インフラ保護法が成立――住民投票なしに水道民営化が可能に
  • 米カリフォルニア州、飲料水に含まれる過塩素酸塩の最新の公衆衛生目標と技術的裏付け文書の最終版を発表
  • NSF International、公共飲用水からのクリプトスポリジウム除去に関する規格を公表
  • 米国下院議員、パーソナルケア製品に含まれるマイクロビーズを禁止する法案を提出
  • 米ニュージャージー州でマイクロビーズ規制法が成立――ほかの9州でも同様の法案が審議中
  • 米カリフォルニア州知事、大規模な節水と取り締まり強化のための地事令を発表
  • 米国・カリフォルニア州エネルギー委員会、水道用器具の節水基準を承認――2016年1月より発効
  • 米カリフォルニア州、非常時の節水規則を延長・拡大へ
  • 米の市民団体や業界団体、新たな飲料水規制物質候補リスト案でEPAを批判
  • 米の消費者が排出するマイクロビーズによる水質汚染、EPAに規制の権限なし
  • 米カリフォルニア州水資源管理委員会、25 %の節水規制を義務付ける
  • ラテンアメリカでのインフラ事業への官民連携(PPP)投資環境の最新動向
  • メキシコ環境監査局、河川に汚染物質を排水していた繊維工場など9社を閉鎖処分
  • メキシコ下院、環境団体や有識者による強い反対により水一般法案の審議を無期限延期
  • メキシコ国立自治大学、地熱エネルギーで稼動し、通常のものより20%効率がよい淡水化装置を開発
  • コロンビア環境省、地表水域および下水道へ排出される汚水のパラメータと最大許容値を規定する決議書案を公布
  • コロンビア「2014-2018年国家開発計画」で、上下水道インフラ整備計画予算の90%をPPPによる民間出資と予定
  • ペルー環境省、汚染された場所の健康および環境リスク評価作成ガイドを公布
  • ペルー政府、水資源政策及び国家戦略を承認――水の需要に確実に対応する為のガイドラインを定める
  • チリ鉱業相、鉱山操業への脱塩水使用の義務化を否定
  • ブラジル社会開発銀行、PPPによる水事業への民間参入は2018年まで増加が続く見通しを発表

アジア

  • 中国、環境監視サービスの市場開放を推進――民間組織の市場参入を奨励
  • 中国、“城鎮汚水の排水管網への排出許可管理弁法”を2015年3月1日から本格実施へ――違反者に対する罰金を大幅に引き上げ
  • 中国国務院、水汚染防止行動計画(水十条)を発表――水質汚染改善の中長期的目標やそのための措置について盛り込む
  • 中国、マクドナルドの提携企業Beijing Simplotに水質汚染者として罰金の支払い命令が下る――過去最高額の7550万円
  • 台湾環境保護署、水汚染防止費用徴収方法を改正、公布――2015年5月1日より徴収開始
  • 台湾経済部、工業分野での水の再利用を促進へ
  • インドネシア、産業排水基準に関する環境大臣規則を公布――過去の20の関連規則に替わる
  • ベトナム、繊維業など3つの産業分野における排水基準を改正
  • イスラエル企業の代表団、訪印――インドの水問題解決への貢献をめざす
  • WBCSD、インドの持続可能な水管理のためのツールをリリース
  • インド・デリー、シンガポールの再生水モデルを手本に水不足問題からの解放を目指す
  • VeoliaとSuez、新興市場としてインドでの水ビジネスの拡大を狙う
  • インド、タミル・ナードゥ州が水源保全のためコカコーラ社の製造工場建設予定地の借地契約を解消――50億ルピーの製造工場計画は白紙に戻る

その他

  • ロシア、原子力と淡水化をパッケージで輸出へ
  • ロシアは2020年までに未処理下水の放流量を半減する――世界水フォーラムで天然資源環境大臣が表明
  • イスラエルとヨルダン、淡水化プラント建設や水の相互売買などで合意
  • サウジと韓国企業、淡水化と技術移転で合意