第55号(2015年8月発行) – 米国の水問題、加州の水再利用計画、マイクロビーズの規制法案

EnviX「水ビジネス・ジャーナル」55号(2015年8月発行)の目次と主要トピックをお伝えします。

はじめに

いま米国では、水インフラの老朽化、水不足、水源の汚染など様々な水に関する問題が多数報告されております。このEWBJ 55号でも報告していますが、大手エンジニアリング会社MWHが一般市民に対して実施したアンケートによると、回答者の70%が、自分たちの住むコミュニティが水不足に見舞われる頻度は向こう10年で上がるとの見かたを示し、また、3分の2の回答者が、水インフラのメンテナンスと正常な機能の維持のためにコミュニティがもっと予算を割くべきだと答えております。

こういった米国の水問題が大きく騒がれるなか、特にカリフォルニア州では水資源の管理について議論が盛んです。米国の州別の取水量を見ると、カリフォルニア州が全米最大で1日当たり380億ガロンの水資源(淡水、塩水の合計)を取水していることが分かります(下図)。しかし、近年は干ばつに悩まされる同州では節水に向けた取り組みが積極的に進められており、例えば今年の4月にEdmund G Brown州知事は、州全体にわたる大規模な節水、取締りの強化、水基盤プロジェクトの優先、新しい節水技術を支援する地事令B-29-15を発行しました*1。そのほかにも、同州内の複数の自治体では水の再利用に向けた計画が進められております*2

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図 米国における州別の1日当たり取水量(単位:million gallon)(上位20州)

以上は主に水不足に関連した問題ですが、一方で水汚染に関する話題で面白いものとして、排水中のマイクロビーズに関するものがあります。マイクロビーズとはプラスチック製微粒子で、スクラブ洗顔剤などに含まれている物質で、その小ささから通常の排水処理では回収できず、環境中に放出されて人体や地表水、水生生物などに悪影響を与えるとされています。このような背景のなか、2015年3月には、新たにニュージャージー州でマイクロビーズを含有するパーソナルケア製品と市販薬の州内での製造と販売を段階的に禁止する法律が成立しました。さらに、少なくとも9州の議会がマイクロビーズの規制法案を審議しているほか、連邦議会下院にも同様の法案(H.R. 1321)が提出されています。水質汚染が思わぬ形で様々な業界(この例ではパーソナルケア用品)に影響を与える例と言えるでしょう。

米国における水問題は多岐にわたり、国レベルだけでなく州レベルでの動向も非常に重要となってきています。これまでにもこのEWBJでは米国の水ビジネス、水問題について特に重点的に報告してきましたが、今後も全米レベルだけでなく、カリフォルニア州をはじめとした各州の政策、規制、市場動向についても紹介していきます。

その他、今回の中国水市場コラムでは「中国『海綿城市』関連事業展開の状況と今後の発展方向」と題して、最近になり提唱された海綿都市に関する各種政策と水企業への影響をまとめました。

*1 EWBJ54号に関連記事有り「米カリフォルニア州知事、大規模な節水と取り締まり強化のための地事令を発表

*2 EWBJ52号に関連記事有り「米カリフォルニア州の自治体、水リサイクル志向強まる

巻頭トピック

中国水市場コラム

中国「海綿城市」関連事業展開の状況と今後の発展方向

主要プレーヤーの動向

Veolia

Suez

GE

研究開発動向

注目企業の戦略動向

地域別の市場・政策・規制動向

欧州

米州

アジア

その他