第56号(2015年11月発行) – 都市開発と水ビジネス

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EnviX「水ビジネス・ジャーナル」56号(2015年11月発行)の目次と主要トピックをお伝えします。

はじめに

このEWBJ 56号でも世界中の様々な水ビジネスに関わるトピックをお伝えしておりますが、そのなかでも今回特に注目したいのが「都市開発と水ビジネス」です。

例えば、世界最大の総合エンジニアリング企業である米国AECOM社は今般、バーレーンのDiyar Al Muharraqプロジェクトにおけるインフラ全般についての基本設計を契約しました*1。このプロジェクトは12 km2もの広大な人工島上に新しい都市を建設するというもので、今回の契約のなかでAECOM社は、Diyar Al Muharraqのすべてのインフラ――上下水道はもちろん、道路、立体交差、造園、環境アセスメント、輸送・物流施設、電力供給網、通信網、廃棄物管理等のユーティリティなど――について、基本設計と建設工事管理を担当することになります。またシンガポールのHyflux社は、タンザニアでの住宅開発プロジェクトにおいて、今後7年間で2250万ドルの資金提供を行い、電力、上下水処理、廃棄物処理といった基本インフラの整備を実施していくことを表明しました*2

世界の水メジャー企業であるVeoliaとSuezもやはり同様で、都市全体でのソリューションの提供を目指しております。まずVeoliaですが、サウジアラビアでのスマート・シティ開発プロジェクトについて、現地企業であるModern Facility Companyを支援していく旨の契約を同社と締結しました*3。具体的にはVeoliaは、現地法人を設立して、スマート・シティに向けた地域冷房、上水道管理、下水処理、発電、および廃棄物処理のサービスを提供していく予定です。このほかにもVeoliaは、都市における水道管理、エネルギー管理、廃棄物処理分野に対して最新のデジタル・ソリューションを提供すべく、IBMと過去に提携しております*4。こういったことからも、Veoliaが水ビジネスだけでなく、それを含んだ形での都市の総合的な開発に注力していることがうかがえます。いっぽうでSuezですが、こちらもサウジアラビアの都市開発プロジェクトを、同じフランス企業であるEngie社と合同で進めていく覚書を交わしました*5。こちらもやはり上下水道管理だけでなく、発電・電力供給、グリーン・モビリティ、地域冷房といった包括的なインフラ・ソリューションを今後手掛けていきます。

今回紹介した事例は、水資源管理という一面だけではなく、都市インフラを多面的に捉えることでビジネス・チャンスが広がる可能性を示唆しています。都市開発において水ビジネスはその一部でしかないですが、水だけでなく、電力の供給や廃棄物処理などを含めた総合的なインフラ整備を提供できることが、今後ますます重要となっていくでしょう。そのためにも、自社単独が難しいのであれば、M&Aや他社との事業提携などを模索し続けることが重要と言えます。

その他、今回の中国水市場コラムでは「中国の都市部生活排水事業における新動向分析と発展方向」と題して、中国国内での生活排水の現状、関連政策・規制、企業の動向についてまとめました。また、今年落札された主要プロジェクトについては、落札企業、契約方式、契約期間、金額などを一覧表にしております。

*1 EWBJ56号に関連記事有り「AECOM、バーレーンのDiyar Al Muharraqプロジェクトにおける総合的なインフラ基本設計を受託」

*2 EWBJ56号に関連記事有り「Hyflux、タンザニアのタウンシップ・プロジェクトでCrystal Developersと合弁」

*3 EWBJ56号に関連記事有り「Veolia、サウジのModern Facility Companyとスマート・シティ開発などで契約」

*4 EWBJ52号に関連記事有り「VeoliaとIBM、都市向け水・エネルギー・廃棄物サービスの刷新に新たなデジタル・アーバン・ソリューションの提供で提携」

*5 EWBJ56号に関連記事有り「EngieとSuez、サウジのキングダム・シティ・プロジェクト開発での協働に関する覚書に署名」

 

巻頭トピック

  • Modern Waterの正浸透膜の売上、2015年上半期はゼロ
  • Xylem、企業買収を加速へ――Decker CEOが語る
  • UKウォーター・パートナーシップが発足――世界の水市場参入のため産学官が結集
  • 米の水道事業、インフラ老朽化等の諸問題に取り組む鍵は技術投資――WeiserMazarsの報告書
  • 中国膜工業協会、「中国膜業界“十三五”戦略発展計画」の作成を進める――2020年に膜生産額2500億人民元を目指す

中国水市場コラム

中国の都市部生活排水事業における新動向分析と発展方向

主要プレーヤーの動向

Veolia

  • Veolia Water(2015年9月~11月の主な動向)
  • Veolia、100%子会社Nova Veoliaを設立――革新的サービスの展開へ
  • Veolia、サウジのModern Facility Companyとスマート・シティ開発などで契約

Suez

  • Suez Environment(2015年9月~11月の主な動向)
  • Suez Environnement、豪州事業の統合を視野にSembSita Pacificの完全子会社化へ
  • Suez社とフランス・ジュラ県ドル市、水管理事業に携わる国内初となる混合経済会社SemOpの設立協定を締結
  • EngieとSuez、サウジのキングダム・シティ・プロジェクト開発での協働に関する覚書に署名

GE

  • GE(2015年9月~11月の主な動向)
  • GE、UF膜事業の拡大に向けてオランダのIMT Solutionsを買収
  • GEの中国研究開発センター、高効率水回収技術を開発
  • GE、「エコマジネーション」10年を機に世界的大企業と新たなパートナーシップで水分野の革新と省エネ技術開発
  • GE、タービンと氷結法を組み合わせた技術で低コストの淡水化を追求

研究開発動向

  • イリノイ大学、二硫化モリブデン(MoS2)の薄膜を使用した淡水化手法を開発――従来技術よりも省エネを達成

注目企業の戦略動向

  • Abengoa社の戦略開発部長、淡水化は水不足対策として必要との見解を述べる
  • AECOM、バーレーンのDiyar Al Muharraqプロジェクトにおける総合的なインフラ基本設計を受託――上下水道だけでなく道路、電力、廃棄物など複数分野を一手に引き受ける
  • CH2M、バンガロール上下水道局の2050年までのマスター・プランを策定へ
  • Grundfos、アフリカなどで水のATM式販売を試行
  • Hyflux、タンザニアのタウンシップ・プロジェクトでCrystal Developersと合弁
  • H2O Innovation、水処理に使用される凝固剤の専門企業であるClearlogxを買収
  • LGのROフィルター生産工場、韓国中部で完成
  • Ovivo、米国のMBR市場進出に向けて、独Microdyn-Nadir社と戦略的パートナーシップを締結
  • STWとSunstone、共同でZLD技術を商業化へ
  • 3MとTaKaDu、水道インフラの先進的管理ソリューションで提携
  • ベルギーのWaterleau、EcolabからEcovationとKroftaを買収

地域別の市場・政策・規制動向

国際

  • 水資源管理に関するCDPの調査、トヨタなど8社に最高評価

欧州

  • EU飲料水指令の付属書改定により、飲料水源の水質監視がリスク・ベースになり柔軟に
  • 欧州委員会・環境総局、処理廃水の再利用促進策の立案に向けたロードマップ作成
  • ドイツ、海洋保全にとって重大なマイクロプラスチック排出源を初めて調査分析
  • ドイツ政府、水サービスと水利用の費用負担原則を定めた水管理法改正法案を了解
  • フランス政府、工業施設跡地の浄化手続きの簡素化と再利用促進に関する政令を発出
  • スイス、多岐浸入源から排出された微量水質汚染物質による河川汚濁状況を調査
  • スイスで、下水の微量物質除去工程を下水処理場に追加する改正水域保全令が施行へ

米州

  • 米下院のマイクロビーズ規制法案、提案者らは製造禁止も検討
  • 米国環境保護庁が年明けにも水圧破砕法で使用する化学物質の規制スケジュールを発表――周辺の水質汚染発生の指摘を受け
  • 米NY州のGE旧施設から放出された有害物質による地下水汚染を州と連邦当局が指摘
  • 水圧破砕に使う水、得られるエネルギーあたりでは意外に少量――デューク大学の調査
  • 米の水道関連4団体、下水の直接飲料化に関するガイダンスを公表
  • 米カリフォルニア州の干ばつがエネルギー・コストを上げる
  • 米環境保護庁、廃水排出企業に水関係データの電子報告を義務付ける最終規則を発表
  • 米ワシントン州知事、新たな水質浄化規則の起草を当局に命令、「化学行動計画」活用の意向も示す
  • 米加州でプラスチック・マイクロビーズ禁止法が成立――生分解性プラスチック製も規制対象に
  • カナダ西部の水不足が慢性化の恐れ――米国北西部の州にも影響あり
  • メキシコ国家水当局CONAGUA、汚水排水許可手続き様式を変更する合意書公布
  • メキシコ、2015年度第3次年度報告を発表――水インフラに関しては2015年末までに下水処理率55%を目指す
  • コロンビア環境省、国家水資源調査書2014を発表
  • ペルー、下水処理プラント設置を国益及び優先事業とすることを宣言する法案が提出される
  • ブラジル下院、降水量が少ない地域での商工業における水の再使用を義務付ける法案を審議
  • チリ、今後5年間で約20の淡水化プラントを建設予定

アジア

  • 中国、農村部の汚水処理市場は更なる拡大が見込まれる
  • 中国の株暴落で、異常な高値のM&Aに歯止め――Suez国際部門の幹部が分析
  • 中国浙江省紹興市の工場における汚染排出量自動測定データの活用状況
  • 中国、海綿都市建設の推進に関する指導意見を公表
  • 中国環境保護部、「水汚染防止行動計画」の実施状況を公表
  • 中国「天津市再生水利用管理弁法」が2015年10月1日より施行
  • 中国天津市、「水質汚染防止条例」2016年に公布へ――紙・パルプ、皮革、染料、農薬合成の4業種の新設・増設を禁止
  • 台湾、水汚染防止法の違反回数に応じた処罰、および改善または補正期限通知の執行準則を公布――水汚染防止法の改正に対応
  • 台湾、水汚染防止法に基づく「健康有害物質の種類」を改正――対象物質を追加し、排水規制を強化
  • インドネシア、ジャカルタの5つの島で海水淡水化を検討
  • マレーシア、国内河川の汚染が深刻化――家庭や各種工業分野からの排水が原因に
  • マレーシア、国内の無収水率の目標達成はいまだ遠く
  • インド、排ガス・排水のオンライン・モニタリング・システム導入義務を果たしていない企業1332社のリストを公表

その他

  • ロシア、排水に関する政令を改正
  • GCC諸国、淡水化能力を2020年までに40%増へ――MEED Projectsの予測データ