第66号(2018年5月発行) – 世界的に高まるZLD需要

EnviX「水ビジネス・ジャーナル」66号(2018年5月発行)の目次と主要トピックをお伝えします。

日本語では「廃水ゼロ排出」「廃液排出ゼロ」「ゼロ排水」「無排水」とも呼ばれる“Zero Liquid Discharge”(ZLD)について、このエンヴィックス・水ビジネスジャーナル(EWBJ)のなかでも報告しておりますが、世界での最近の動向を簡単に紹介したいと思います。なおZLDとは、工場などから出る廃水を処理した後に環境中や下水道に放出せずに、ブライン濃縮装置や晶析装置を使用することで、最終的には固形廃棄物だけを排出し、途中段階で得られる水を再利用する仕組みです。

図 ZLDシステムの概略図(下段はRO膜を使用したプロセス)

近年、水不足の問題や排水基準強化といった背景から、このZLDの需要が世界的に高まっております。例えば中国の内モンゴル自治区のオルドス市では、利用可能な水資源が少ないために、域内に立地する大型石炭化学企業28社に対してZLDの導入が要求されました[1]。またインドでも、一部の州において特定産業種に対してZLDの達成を義務付ける通知が出されており、それを順守しない工場に対しては操業停止命令が下っております[2]

このように、各国での法規制にもとづく措置は年々強化されつつあり、それにともない今後もZLD市場の成長性は期待され、多くの企業が注目しています。例えば世界的水企業のひとつであるSuez Environmentは、ZLDのコア技術ともいえる蒸発装置および晶析装置に特化したスイスのエンジニアリング企業Evatherm社の株式を2014年に取得し[3]、その後2016年には同社にとって初となる中国でのZLDプロジェクトを受注しました[4]。また水ビジネス分野における新興企業である英国Modern Water社は、独自のオール・メンブレーン・ブライン濃縮(AMBC)技術を用いて、インドや中国でZLD関連の契約を立て続けに受注しております。このほかにも、米国Gradiant社(2012年創業)はZLD市場の拡大を見越してインドに子会社を設立しました[5]

世界的な環境規制の強化が新たな環境ビジネスを加速させることを示す良い事例でもあるZLDについては、今後もこのEWBJのなかで継続的に報告していきます。なお、過去のZLD関連記事については以下のwebページより閲覧できますので、ご参考ください(記事の中身は契約者様のみ閲覧可能となっております)。
http://water-business.jp/tag/zld/

その他、今回の中国水市場コラムでは「中国の政策・発展方向の解説および水分野への影響」と題して、中国国内での水に関する最近の各種政策と水企業への影響をまとめました。

また、特集としまして「米国での飲料水への有機フッ素化合物類(PFAS類)汚染を巡る法規制の動向」をまとめましたので、こちらも是非ご覧ください。

[1] EWBJ66号に関連記事あり「中国水市場コラム:中国工業廃水分野における発展現状と方向

[2] EWBJ61号に関連記事あり「インド、ゼロ排水(ZLD)を実施しない蒸留工場に対して操業停止を命令――ガンジス川の水質改善を目指して

[3] EWBJ51号に関連記事あり「Suez Environnement、蒸発技術および結晶化技術に特化したEvathermの株式を取得――産業顧客向け水処理ソリューションのさらなる充実化を図る

[4] EWBJ58号に関連記事あり「Suez、中国における石油・ガス及び石油化学セクター大手と廃水処理に関する3つの契約を締結

[5] EWBJ66号に関連記事あり「Gradiant Corporation、ZLDへの需要拡大を受けてインドに子会社を設立

巻頭トピック

特集

米国での飲料水への有機フッ素化合物類(PFAS類)汚染を巡る法規制の動向

中国水市場コラム

中国工業廃水分野における発展現状と方向

主要プレーヤーの動向

Veolia Water

Suez Environment

研究開発動向

注目企業の戦略動向

地域別の市場・政策・規制動向

国際

欧州

米州

アジア

その他