APが2008年8月19日に配信した記事によると、General Electric Co.(GE)のJeffrey Immelt会長兼CEOは、同社の中国における事業が向こう2年間に規模を倍増して年間100億ドル(約9600億円)に達する見通しを示したという。これは同会長兼CEOが、開催中の北京オリンピックのGEパビリオンで取材に応じて語ったもので、同氏はさらにこう述べている。「われわれはこれまでも、中国で大きく成長してきた。これからは、水と環境が中心になるとわたしは考えている――水と環境の分野は、将来にわたって大きなチャンスをあたえてくれるものだとわれわれは考えている」
水インフラ・プロジェクトは、GEのビジネスの最重点事業のひとつになりつつあり、水部門であるGE Water and Process Technologiesが中国で実施している水プロジェクトが今後GEの事業全体のなかで大きな役割を果たすことが期待されている。
また、GEは最近、組織を全面的に再構築する計画があることを明らかにしている。その柱となるのは、金融部門とインフラ部門の拡充、それに照明部門と家電部門の売却である。
APの報道によれば、GEは中国全体で1万2100人の従業員を擁し、上海には同社の4大研究開発センターのひとつがある。GEは現在、中国のいくつかの都市で上水道プロジェクトや浄水・下水処理プロジェクトを進めている。
GEが大口の企業スポンサーとしてかかわった北京オリンピックとの関連でいえば、同社はオリンピックがらみで自ら設定していた売上目標を上回る実績をあげた。これについて同社は2008年8月11日に「GE、2008年北京オリンピックにおける全社の売上、17億ドルを超える」と題するプレス・リリースを発表し、そのなかでつぎのように述べている。
GEは、北京オリンピックの37の公式競技場すべてと、北京およびその周辺各地のプロジェクトに、最先端のインフラ技術を提供している。GEのメディア・エンターテインメント部門であるNBC Universalは、延べ3600時間以上のオリンピック放送を全米に流している。
2008年8月11日、GEは北京オリンピックにおける売上目標17億ドル(約1600億円)をはやくも達成した。北京市内とその周辺各地で獲得した約400件のインフラ・プロジェクトは、売上にして7億ドル(約670億円)になる。また、NBC Universalは10億ドル(約960億円)を超える広告売上を記録したが、これで北京オリンピックはGEの歴史上最も成功した大会となった。NBC Universalのオリンピック放送そのものも、このペースでいくと歴史上最も視聴されたオリンピック放送ということになる。
GEは、これまで70年以上にわたって、オリンピックをはじめとする大きなスポーツ・イベントを技術面で支援してきたが、今回の北京オリンピックでも、37の公式競技場すべてと、北京市およびその周辺の168棟の商用ビルでプロジェクトを実施している。そのうちいくつかは、メイン・スタジアムの国家体育場(通称:「鳥の巣」)における浄水と雨水リサイクルのための濾過技術、50以上の競技場に電力を供給するための73の変電施設、北京首都国際空港における最先端の手荷物検査システムなど、技術的に見て中国で「初の」プロジェクトである。このほか、GEは北京の北西の張北と尚義にあるウインド・ファーム(集合型風力発電所)に120基の風力発電装置を供給したが、ここで得られた電力はメイン会場であるオリンピック公園にも送られている。
今回の北京オリンピックへの貢献についてGEのJeff Immelt会長兼CEOはこう述べている。「GEはオリンピック開催都市に欠くことのできないさまざまな技術ソリューションを提供することのできるユニークな位置にいる。中国で100年以上にわたって活動をつづけてきたわが社は、今回こうして北京オリンピック組織委員会およびその他のパートナーと密接に協力し、中国が世界最大のスポーツ・イベントを準備するお手伝いができたことを誇りに思っている」
「鳥の巣」、国家水泳センター(通称:「水立方」)、国家体育館、五棵松野球場など、北京およびその周辺で最も異彩をはなつオリンピック競技場において、GEの技術はその中核部分として活躍している。また、市内のいたるところで、北京供電局の配電システム、北京地下鉄4号線、北京首都国際空港などの市のプロジェクトや施設をGEは支援している。
GEのこうした働きについて、国際オリンピック委員会の商業委員会委員長であるGerhard Heibergはこう語っている。「GEの北京オリンピック準備への貢献は、とりもなおさず北京市の変身への大きな支援となった。プロジェクトの範囲が都市インフラから水処理にいたるまで広範であるにもかかわらず、GEは、競技者、観客、およびメディアのためのオリンピック施設のスムーズな運営に役立っている」
エコマジネーション――持続可能なオリンピックのために
エコマジネーション――環境面での緊急課題への顧客の取り組みを支援するための技術の開発とマーケティングを推進する全社的イニシアティブ――の線に沿って、GEは北京をとりまく多くの地域でクリーン・エネルギー・プロジェクトのためのソリューションを提供している。北京の北西の張北と尚義のウインド・ファームにGEが供給した120基の風力発電装置は、中国北部の電力網に接続され、天津、唐山、および北京に18万キロワットの持続可能エネルギーを供給している。これらのウインド・ファームは中国の平均的な家庭およそ40万世帯の電力をまかなうことができ、それによって削減できる二酸化炭素排出量は年間40万トン以上で、「グリーンな」オリンピックを開催するという中国政府の目標を達成するのに役立っている。
GEはまた、国家体育場に2種類の水処理技術を提供しているほか、北京の東に位置する唐山市南堡地区の廃水再生利用プロジェクトへの逆浸透膜技術の提供もおこなっている。この廃水再生利用プラントは日量9万3000トン以上の造水能力をもつことになるが、これはオリンピックの競泳プールの37杯分に当たる。ここで再生された水は、唐山市南堡経済開発区の工場などに使われることになる。GEの水濾過技術はまた、Qinghe廃水リサイクル・プロジェクトでも使われており、ここでは、日量8万立方メートルの廃水をリサイクル処理し、北京オリンピックの期間中はこの水が庭園用などに使われている。
GE Water & Process Technologies――水処理システムを無償で提供
2008年5月、GEは東莞市とその周辺の村の6万人以上の住民にきれいな飲料水を供給するためのふたつの最新式浄水システムを寄贈することを明らかにした。これらシステムは、清潔で持続可能な飲み水の供給により健康の増進に役立てるよう設計されている。GEは中国水利部と協力し、2008年夏に東莞市に本格的な浄水プラントを設置して運転の立ち上げをおこなうほか、近隣の村々のために移動式浄水プラントを提供する。自治体の上水道インフラのサービス圏外にきれいな水を供給するのに最新の移動式浄水システムを使うのは、中国ではこれがはじめてである。
GE Healthcare――最新技術で競技者たちの健康状態把握に寄与
GE Healthcareはオリンピック・ムーブメントの医学分野の指導者たちと協力し、革新的な医用画像技術を使って選手たちの健康状態の把握や、一般のひとびとの医療診断などに貢献している。GEは、2006年のトロント冬季オリンピック以前から、オリンピック選手たちの心臓や筋骨格に関する草分け的な研究をつづけている。この研究の目的は、初期の医学的介入と健康モニタリングが選手たちの故障の防止、健康の増進、および競技成績の向上につながることを実証することにある。GE Healthcareはまた、最新の超音波、MRI(核磁気共鳴画像法)、およびECG(心電図)の技術を北京オリンピックに提供している。GEのこうした技術はオリンピック選手村総合病院で使われている。この病院は、200ヵ国以上からあつまった1万500人の選手たちが利用できるほか、アメリカ、中国、イタリア、フランス、およびスペインのオリンピック・チームのドクターたちにも開放されている。
GEのオリンピック・セールス・インセンティブ
オリンピックのスポンサー企業として活動するGEは、それと並行して、全世界規模のセールス・インセンティブ・プログラムも実施している。これは世界中の4万人以上の販売担当者を対象としたプログラムで、2007年と2008年の両年にわたって売上が1億9000万ドル(約180億円)以上伸びるという成果をもたらした。ブラジルから中国にいたるまでの世界各国のセールス・チームは、簡単な枠組にしたがい、従業員やディストリビュータを対象に、オリンピックをテーマにした独自のセールス・インセンティブ・プログラムを実施することができるようになっている。