Siemens、太湖の水質改善事業に参加へ

中国江蘇省無錫市はこのほど、同市の下水を適正に処理して太湖の水質を改善するプロジェクトにSiemensの技術を採用することを決定した。太湖は3000万人の周辺住民にとって重要な水源だが、生活下水や工業廃水によって重度に汚染されている。Siemensが提供するソリューションには、同市の3大下水処理プラントのひとつである無錫Xincheng下水処理プラントのグレードアップのための膜バイオリアクター(MBR)システムも含まれている。このMBRシステムは1日に3万立方メートルの下水を処理することができ、2010年までに下水の90%以上を処理するという無錫市の目標を達成する上で重要な役割をはたすものと期待されている。このシステムは、2008年末に稼働を開始する予定である。

 

太湖を浄化するための取り組みの一環として江蘇省は、中国で最も厳しいといわれる下水処理基準を定めた。同省はまた、太湖周辺の各市の汚水処理能力を高める事業にも着手している。無錫のXincheng下水処理プラントは、Siemensが提供するMBRシステムによって、無錫新区の工業団地の100社以上のハイテク企業の廃水にもこれまで以上に対応できるようになる。新区の工業団地からは、このところ年率20%から25%のペースで廃水が増している。

SiemensのMBRシステムは、同社の革新的なMemcor膜と従来の下水処理プロセスを組み合わせたものである。このシステムは、有機栄養素を分解し固形物を濾過することによって、処理排水中の窒素とリンを大幅に減らすことができる。このMBRシステムを使うことで、Xincheng下水処理プラントは国家排出基準第I-A類をクリアする水質の排水が可能になり、こうして排出される水は、そのまま太湖に流しても問題なく、また、この地域の基準を満たす再生利用水として活用することもできるようになる。

 

浄水および下水処理の製品とサービスを提供する世界最大手企業のひとつとして、Siemens Water Technologies(本社:アメリカ、ペンシルヴェニア州Warrendale)は世界中に70余りのMBR施設を提供してきた。そのうちのひとつに、北京の北小河下水処理プラントで使われているMBRシステムがある。オリンピック公園に再生利用水を供給するのにも使われたこのシステムは、この種のものとしては世界最大のシステムのひとつである。

今回の採用決定についてSiemens Water TechnologiesのDr. Henrik Alt部長はこう述べている。「中国においては、水質の保全は大きな難問だ。無錫Xincheng下水処理プラントのグレードアップ・プロジェクトは、無錫市の持続可能な発展に役立つばかりでなく、水処理事業にとっても環境面、運営面における新たなベンチマークとなるものだ」

Siemens Water Technologiesが属するSiemens Industry Solutions Division(ドイツ、エルランゲン)は、このほかにもSiemens VAI Metal Technologies(オーストリア、リンツ)やIndustry Technologies(ドイツ、エルランゲン)などを傘下に擁し、産業およびインフラ施設へのソリューションおよびサービスのプロバイダーとしては世界のトップ企業のひとつである。