水インフラ投資、下院の景気刺激策パッケージの一環に

下院の運輸・インフラ委員会のJames Oberstar委員長(民主党、ミネソタ州選出)が2008年10月29日の公聴会で言明したところによると、同委員会は、選挙による休会が明けてから2週間以内に、自治体の上下水道システムへの支出を含むインフラ投資による景気刺激策のパッケージ法案を準備する予定である。公聴会終了後、同委員長は記者団に対し、このインフラ・パッケージ法案は、以前に下院を通過した景気刺激法案H.R. 7110の線に沿ったものになると述べた。H.R. 7110法案は下院を通過したものの、休会前に上院で審議が行き詰った状態になっていた。

 

H.R. 7110法案は、幹線道路、橋、公共輸送機関、鉄道公社Amtrak、空港、下水道、および陸軍工兵団へのインフラ投資300億ドル(約2兆9000億円)など、経済再建のために610億ドル(約5兆8000億円)を投じるという内容だった。このなかには、安全飲料水法にもとづく州水質浄化整備リボルビング基金への65億ドル(約6200億円)、州上水道整備リボルビング基金への10億ドル(約960億円)が含まれていた。

この合計300億ドル(約2兆9000億円)というインフラ投資についてOberstar委員長は、公聴会の証言を聞いた結果、「上積みが可能」なことがわかったと述べた。今後、委員会のスタッフが景気刺激策パッケージ法案のインフラ部分の見直しにとりかかり、議員たちがワシントンにもどってきて審議の準備が整う11月17日の週までには法案のかたちにする予定ではあるが、パッケージ法案の全体がどうなるかは上院しだいだ、と同委員長はいう。

 

いっぽう、全米下水道局協会(NACWA)は委員会に提出した意見書のなかで、不況の影響を大きくうけた自治体には補助金を増やしたりマイナス利息の貸付をおこなったりすることが必要で、そのために州水質浄化整備リボルビング基金への投入額を100億ドル(約9600億円)に増額すべきだと提言している。全米の自治体が深刻な不況の影響にあえいでいるという情報がつぎつぎに寄せられているいま、インフラを主体とした景気刺激法案の早期可決はいっそう重要さを増しているとNACWAは主張する。

公聴会では、インフラへの投資によって早急に雇用を創出するには、いますぐにでも着手できるいわばプロジェクトの「在庫」がたくさんあるので、それを活用すべきだという意見があいついだ。たとえば、NACWAの調査では、同協会会員の下水道局だけでも、「いますぐにはじめられる」インフラ・プロジェクトが30億ドル(約2900億円)分近くあり、この調査結果をもとに全米の1万6000の下水処理プラントに外挿して考えると、これだけで少なくとも100億ドル(約9600億円)になるという。