科学者らが、米国の水獲得競争の激化に対処するのに役立つ連邦政府の取り組みの一環して米国の地下水供給を詳しく調べるための戦略を提案した。地下水レベルの低下によって地下水が将来安定的に供給できるかどうかが心配されている。というのは、地下水は、全国の河川、湿地帯、および河口の健全性だけでなく農業や工業の活力にとっても絶対必要であるからである。
報告書Ground-Water Availability in the United States(米国の地下水の供給力)には、米国の地下水の供給力について知られていることが詳細に調べられ、また州や地方の政府機関が情報に基づいて水の供給力についての決定を行なうのに役立つ情報を提供することになる今後の国や地域の調査の戦略の概要がまとめられている。
この報告書に要点が説明されているアプローチは、地下水資源を管理する州や地方の政府機関に役立つ地域の情報を提供し、いっぽうでは全国的評価のための基礎的要素も提供するように工夫されている。報告書では、「米国地質調査所地下水資源プログラム(USGS Ground-Water Resources Program)」を全国の主な帯水層の地下水供給力を把握するための長期にわたる取り組みと見ている。報告書には、30カ所の地域の主な帯水層に関する情報と水供給力問題の多様性を説明するために5つのケーススタディが記載されている。この報告書は、米国の水源の管理、保護、および持続可能な利用に関心を持っているかまたはかかわっている幅広い読者のために書かれたものである。
地下水は、地球の表面下で見出される隠れた資源であるが、米国のもっとも重要な天然資源の1つである。地下水源の大量使用やポンプによる揚水のほかの影響のため、家庭、農業、工業、そして環境面でのニーズを満たすための地下水の将来の供給力が心配されている。地下水の供給力を決めるのは複雑なプロセスである。地下水に影響を及ぼす問題は、場所ごとに異なるので、意味のある見通しを得るには普通地下水流システムと関連した分析が必要である。たとえ水資源が地域的に豊かであっても、集中した区域で大量に水が使用されると、その区域にはストレスが生じる可能性がある。水に関係する問題は複雑な形で展開するので、社会の刻々と変化する水需要を満たすためにこれまでの調査の基礎の上に築かれる地下水資源の最新の総合的な評価が必要である。
この報告書は、連邦議会の要請を受けて2005年に始まったパイロット・スタディ「水供給力と利用の全国的評価(National Assessment of Water Availability and Use)」の副産物である。報告書はまた、米国地質調査所地下水資源プログラムの一環として最近始められた地域地下水供給力調査に基づいている。全国的地下水評価へのアプローチは、米国の水センサスの重要な要素である。この水センサスは、「国家科学技術会議水供給力・水質小委員会(National Science and Technology Council Subcommittee on Water Availability and Quality)」による全国的な水の課題に対処するための連邦科学戦略案の一部として提案されているものである。