2008年9月8日、南米諸国の政府高官がウルグアイに集まり、1週間にわたって水資源の利用について、複数の国にまたがった河川流域の管理、気候変動の影響、水主権の問題など、5つの分野で共同歩調をとるための話し合いを行った。
この話し合いを主催したウルグアイのカルロス・コラス環境相の話によると、近年では人口増加と工業化のために水の消費量がうなぎのぼりに上昇している上に、気候変動によって激しい豪雨に見舞われたり、逆に干ばつが続いたりすることが多くなったため、地域全体で「河川の流域の利用と管理に関するコンセンサスを模索せざるをえなくなっている」という。
南米大陸は、世界最大のアマゾン川を擁し、豊かな水資源に恵まれた地域である。この川には、2位から10位までの河川の流量をすべて合わせたよりも多くの水が流れており、アマゾン川とリオ・デ・ラ・プラタ川の流域面積はこの大陸の半分以上に及び、欧州全体にも匹敵する広い地域を占めている。
さらに、米国のカリフォルニア州の面積の3倍にも及ぶ世界最大級のグアラニ帯水層もあり、この帯水層については5年前からブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイの4カ国が共同管理計画をスタートさせている。また、アルゼンチンとチリとの国境のアンデス山脈を覆う南部パタゴニア氷原も、南極とグリーンランドに次ぐ世界で3番目に大きな大陸氷であり、重要な淡水の宝庫と見られている。
このような背景のもとに、今回、ウルグアイに集まった南米各国の高官たちは、水資源を世界の人類共有の財産と見なすことに断固として反対する姿勢を明らかにした。「例えば、石油については人類共有の財産と見なそうという話なんて聞いたことがない。私たちは自国の資源に対する主権を断固として守り抜くつもりです」カルロス・コラス環境相はそう語っている。
水資源の問題については、3年に1度、世界水フォーラムが開かれ、世界各国の政治家や政策立案者が一堂に会して話し合いが行われており、次回の第5回世界水フォーラムは、2009年3月にトルコのイスタンブールで開かれることになっている。今回の話し合いの結果、南米各国の代表は11月にもう一度ブラジルに集まって、南米全体としての意向を文書にまとめ、この第5回世界水フォーラムに提出することになった。