雲南省の陽宗海、ヒ素などで汚染――2万6000人への上水供給がストップ

複数の中国国営メディアが2008年10月23日に伝えたところによると、中国南西部雲南省の観光地として名高い陽宗海(Yangzonghai)という湖が、ヒ素などの化学物質により汚染されていることが判明し、周辺のすくなくとも2万6000人への上水供給が止まっている。

これについて国営の中国新聞社は、地方政府の高官らが湖の汚染の責任を問われて解雇されたと報じている。職を解かれたのはすくなくとも18人で、このなかには省、市、県レベルの共産党幹部も含まれており、さらに、8人が降格処分となった。

また、同じく国営の新華社は、陽宗海では2008年6月に高レベルのヒ素が検出され、その浄化にはおよそ3年の月日と数十億元(数百億円)の費用がかかると報じている。

この汚染により、湖周辺に住むすくなくとも2万6000人が上水の供給を断たれた。これら住民のほとんどについては、他の水源によりまもなく給水が再開されたが、およそ200人はまだボトル入り飲料水に頼る生活を強いられている。

 

主たる汚染源とみられる化学メーカーの雲南澄江錦業工貿有限公司(Jinye Industry and Trade Co.)の幹部3人も身柄を拘束され、刑事告発へ向けた取調べをうけている。

新華社によれば、環境を優先せよとの指示を北京政府が何回も出してきたにもかかわらず、地方政府は経済成長と税収をやみくもに追求するあまり、湖周辺の公害取締りの手をゆるめてきたのだという。2007年に雲南澄江錦業工貿有限公司が納めた税金は1100万元(約1億5000万円)だった。

また、中国新聞社は、地元住民が数年前から同有限公司の公害に苦情を申し立ててきたにもかかわらず、地方政府はそれへの対応を拒んだと伝えている。

 

陽宗海は地下水源をもつ湖として知られており、雲南省でも屈指の景勝地である。この湖はまた、すばらしい自然環境と多様な生物の生息地としても名高く、近隣の省都昆明のひとびとに人気のリゾート地でもある。昆明は●池(●はさんずいに真:Dianchi Lake)に接しているが、この中国最大級の淡水湖はまた中国で最も汚染のひどい湖でもある。

中国では、30年ちかくも野放しの経済成長がつづいた結果、ほとんどの河川や湖沼が重度に汚染されているばかりでなく、都市住民は、世界最悪ともいわれる大気汚染に直面している。