2009年7月8日から10日にかけてイタリアのL’AquilaでG8によるサミット会議が開催されたが、その開催に先立ってグリーンピースやWater Aid及びEnd Water Povertyといった社会活動グループは、世界的に広がっている水危機と衛生問題、特に発展途上国で深刻化しているこれらの問題について早期に取組むよう要請した。このG8会議では、世界的な問題となっている食糧危機、衛生問題及び教育問題について討議されることとなっていた。
今回のG8会議は議長国であるイタリアにより開催されたが、これら8カ国はいずれも北半球に位置する高度に工業化された国である。すなわち、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、日本、米国、カナダ及びロシアの8カ国で、これに欧州連合EUが加わっている。EUからは、欧州閣僚理事会と欧州委員会の理事長と委員長がそれぞれ代表として参加した。
これらの活動グループのひとつEnd Water Povertyは、その7月6日付けプレス・リリースの中で、これら3グループの連合体がG8のリーダーに対して、昨年のG8で世界的な水と衛生面での危機に取組むとした約束が守られておらず、それによって、今回のG8で策定される他の開発イニシアティブが影響を蒙るようなことがあってはならないとする明確な警告を発したことを明らかにした。
また、Water AidのOliver Cumming氏は、「水と衛生がしっかりしていることで、開発に向けたあらゆる取組みが支えられる。安全な水と衛生対策がしっかりしていなければ、G8がなした如何なる決定も極めて危ういものとなるだろう、と語った。これらの決定とは、このG8会議で各国リーダーが討議することになっていた世界的な食糧危機、衛生問題及び教育問題に関するものである。
Water Aidは、G8リーダーに上述したメッセージを送るために型破りの方法をとった。すなわち、英国の大手水企業Severn Trent社の26歳の社員がWater Aidとチームを組んで、ロンドンのトラファルガー広場にあるロンドンの第4の台座で、英国の彫刻家Antony Gormleyによる「One and Other」プロジェクトの一環として世界中で衛生対策を推進するよう訴えた。この従業員Oliver Parsons-Bakerは、その台座で、正に「糞」に見えるコスチュームを着て、「25億人がトイレにも行けない」と書いたWater Aidの看板を掲げたのである。もうひとつのプラカードには、「G8リーダーたちよ、今すぐに衛生危機に立ち向かえ」と書いてあった。
一方、グリーンピースはそのホームページで7月7日、彼らの活動家が既にクレムリンにも同じようなメッセージを送ったと報じている。また、グリーンピースは、先進国は、「大量の人口移動、大量の消滅、そして大規模な飢饉」を招くことになる気候変動による大災害を避けるために、自らが放出した温室効果ガスを削減しなければならないと訴えている。