GE、サウジアラビアのダンマンに水・プロセス技術センターを開設

信頼できる水源の必要性がこれまでになく高まっているサウジアラビアにおいて、GE Energyはそのための重要なソリューションの提供につとめているが、このたびその一環として、ダンマンに1000万ドル(約9億5000万円)をかけてGE Saudi Water & Process Technology Centerを完成させた。

2009年6月23日におこなわれた開所式には、サウジアラビア政府の要人をはじめ、同国および湾岸諸国におけるGEの顧客やパートナー企業の幹部らが列席した。この技術センターは、サウジアラビアとその周辺諸国における産業顧客へのサービスを強化するために開設されたものである。

 

技術センターは、水処理用化学薬品のブレンド・プラントを備え、サウジアラビアと周辺地域の顧客に対し、先進的な浄水、水再利用、廃水処理、およびプロセス水のソリューションを提供する。このセンターは、GE Energyのビジネス・ユニットであるGE Waterが湾岸地域に開設した施設としては、アラブ首長国連邦のドバイに最近開設した工場・オフィス複合施設に次ぐ2番目のものであり、GEとは1957年以来かかわりのあるAl Tamimiグループとの合弁事業としてつくられた。このAl Tamimiグループというのは、サウジアラビアの最大手エンジニアリング・建設企業のひとつである。

 

今回の技術センターの開設について、GE WaterのChemicals & Monitoring Solutions部門のGlen Messina CEOはこう述べている。「この技術センターは、サウジアラビアのインフラ開発にGEが責任をもって協力していくという姿勢を体現したものだ。GEは1942年以来、サウジアラビアの官民の企業とともに、成長のパートナーとして成功をおさめてきた。今日、GEはサウジアラビアに600人以上を配置し、現地化イニシアティブの一環としてこの国への投資をつづけている」

 

Messina CEOはさらにこう述べた。「このセンターは、サウジアラビア王国と湾岸地域にふたつの重要な利益をもたらす。まず、この技術センターは、成長しつつある工業部門がその操業に必要な上水の供給を連続して確実にうけられるようにすることに貢献する。このセンターはまた、信頼性が高く効率的でしかもフレキシブルなサプライ・チェーンを支援し、それによって、この国の顧客のあいだにますます強まってきている水処理のソリューションと技術への要求に応えていく」

今回開設された技術センターは、GEがサウジアラビア企業との現地でのパートナーシップに注力していることをよく示しており、この国の社会経済的発展戦略を補完するとともに、民間部門におけるサウジアラビア国民の雇用を促進するという国家戦略を支援するものでもある。

技術センターには敷地面積7500平方メートルの化学薬品プラントがあり、これがフル稼働すれば年間1万トン以上の化学薬品を新たに生産することができる。また、薬品と装置の貯蔵用に1150平方メートルの倉庫も併設されている。化学薬品プラントは、当初は電力、石油精製、石油化学、鉱業、製造業など多くの産業用途の各種化学薬品のブレンディングに使われる。また、上水道用の浄水処理や、下水処理用途にも利用されることになっている。

 

GEは、ほぼ70年にわたって、この地域への投資と、水処理や発電といった需要を満たすための技術やサービスの提供により、サウジアラビアのインフラの発展に欠くことのできない役割を果たしてきた。今回開設された技術センターは、サウジアラビア人に職場と訓練の場を提供する役割も担っている。技術センターの契約社員、プラント運転員、それに営業スタッフのおよそ半分はサウジアラビア人である。GEはリーダーの育成に力を入れており、GEのあらゆる階層の従業員が訓練の機会をあたえられる。

GEは、サウジアラビア全国の多くのプロジェクトに、400基以上のタービンを供給してきた。最近のおもなものとしては、2.7ギガワットを超える発電能力と日量80万立方メートルの淡水化能力を誇る世界最大の独立系造水発電プロジェクトであるMarafiqプロジェクト、2ギガワットを超える出力の中東最大の複合サイクル発電をおこなっているサウジ電力会社(SEC:Saudi Electricity Company)のPP10およびPP9プロジェクト、それに、GEの改良型F技術ガス・タービンの1000基目の出荷として話題になったリヤドにおけるSECのPP8プロジェクトなどがある。

GE Energyは、サウジアラビアと湾岸地域における顧客サービスをさらに強化しようとしている。その一環として同社は、ダンマンに敷地面積1万平方メートルのPower Technology Centerを建設することを明らかにした。この電力技術センターによりGE Energyは、この地域におけるサービスと修理の能力を強化することになる。

サウジアラビアと湾岸地域におけるGEの水ビジネスのポートフォリオは、淡水化、上下水処理と産業廃水処理、プロセス用薬品処理と分離、生産水、および家庭用浄水器など、広範囲にわたっている。これらに関連したおもなプロジェクトにはつぎのようなものがある。

 

GEとAl TamimiのGET Waterパートナーシップ:GEはAl Tamimiグループに、海水およびかん水の処理、水再利用、および72時間以内の緊急時対応用水濾過を可能にする一連の移動式水処理システムを供給してきた。現在、60基以上の移動式ユニットが稼動しており、各ユニットは最大で1日1500立方メートルの水を処理することができる。

GE Water、カタールのConocoPhillips水持続可能性センター(WSC:Water Sustainability Center)と提携:ConocoPhillipsとGEは、WSCにおいてより効率的な費用対効果性の高い処理技術の開発に共同で取り組む。WSCは、おもに石油および石油化学業界向けの水ソリューション、ならびに上下水道および農業用水ソリューションの研究開発をおこなうことになっている。

ジッダの国際医療センターにおける水再利用:GEは、この300床の医療施設に、最先端の膜バイオリアクター廃水処理システムを供給した。このシステムは1日に250立方メートルの廃水を処理してリサイクルし、水の消費量の削減に役立っている。得られたリサイクル水は浄水基準を満たしており、トイレの水洗用と植え込み等への散水用に使われている。