フランス国立温暖化影響観測所、予想される水不足に警笛――2050年には深刻な水不足に

フランス国立温暖化影響観測所(ONERC)が2009年9月に発表した報告書(フランス語)“EVALUATION DU COÛT DES IMPACTS DU CHANGEMENT CLIMATIQUE ET DE L’ADAPTATION EN FRANCE”によって、2050年には同国が深刻な水不足に陥る可能性があることが明らかになった。同報告書は、現在の水需要量(農業、工業、飲料用)の14%に相当する年間20億m3の水が不足すると予想している。

また、2003年の熱波のような気候の影響により、小麦農家は2100年までに年間約3億ユーロのコストがかかると試算している。

さらに、同報告書は、海面上昇により、道路整備に20億ユーロのコストがかかるとも推定している。同報告書によると、気候変動により海岸の土壌浸食が進み、フランス南西部に位置するLanguedoc-Roussillon地域だけでも数十億ユーロのコストがかかるという。加えて、生物多様性やツーリズムが受ける影響についても、同報告書では予測がなされている。

同報告書は、予想される影響を緩和するための一連の適応策について提案しており、農業における水使用量の削減、あるいは生物多様性政策を気候変動政策に組み込むことなどが提案されている。

上述の報告書(フランス語)へのアクセスは、以下のURLより。
http://www.ecologie.gouv.fr/IMG/pdf/partie_1_rapport_de_synthese.pdf