エネルギーや気候変動への取組には総合的水政策が不可欠――米NPOが報告書

水問題に関する産学官協同のNPO、Clean Water America Alliance(CWAA)は2009年11月23日、深刻さを増しつつある気候変動、エネルギー供給、および持続可能な水利用の諸問題への取組には全米規模の総合的水際策が不可欠であるとする報告書を発表した。A Call to Action: The Need for an Integrated National Water Policy(いまこそ行動を:全国規模の総合的水政策が必要)と題するこの報告書は、「連邦、州、および自治体レベルで細分化された法律、政策、および組織、それにセクショナリズムが、水問題の持続可能なソリューションの展開を妨げている」と述べている。

報告書が指摘している水関連のおもな問題としては、気候変動とエネルギーと水の相互関連、上水と下水とストームウォーターのリンク、グリーン・インフラ、水源域などがある。報告書のなかでCWAAは、持続可能な水利用を実現するには水源域ベースの取組による総合的なアプローチに注力する必要があるとし、つぎのように述べている。「最大の問題のひとつは、行政区画と水源域が多くの場合、一致していないことだ。ソリューションとして機能するには計画だけでは足りず、総合的モニタリング、許認可、および法の執行を水源域ベースでおこなうことも必要だ」

報告書はまた、こうした要求に応えるには、連邦、州、および自治体によるさまざまな取組を統合し、水資源に焦点を当て、水、気候変動、およびエネルギーの問題のよりよい調和をはかることのできる全米規模の水政策の確立が不可欠だとしている。エネルギーの生産には大量の水が必要であり、水処理と給配水にはエネルギーが必要であると報告書はいう。さらに、気候変動はエネルギー部門にも水部門にも大きな影響をおよぼすと報告書は指摘し、つぎのように述べている。「どのようなプロジェクトでもそのコストを的確に判断するためにカーボン・フットプリントを計算するように、エネルギー・プロジェクトにはウォーター・フットプリントの計算が必要だ」

さらに報告書は、上水、下水、およびストーム・ウォーターの相互関連を指摘し、集配水システムの老朽化でおびただしい量の水が失われている上、人口と平均寿命の伸びにつれて水供給への圧力が高まるだろうとしている。

こうした需要増に応えるために、水の再利用が盛んになるだろうし、またそうなることが必要だと報告書は述べている。さらに報告書は、フィラデルフィア、シカゴ、ミルウォーキー、シアトルなどに見られる都市の豪雨問題への先進的取組に言及し、こうした問題の解決には革新的なグリーン・インフラ技術が役立つだろうとしている。

なお、CWAAはアメリカの水資源問題への水源域ベースのアプローチを推進するために産学官が2009年9月に共同で立ち上げた団体である。