インド環境森林省のJairam Ramesh大臣は、2009年10月5日、ガンジス川流域浄化プロジェクトを実施するため、ガンジス川流域庁(NGRBA:National Ganga River Basin Authority)が2020年までに1500億ルピー(約2900億円)を投入する方針であることを明らかにした。同プロジェクトにより、2020年には、全ての都市下水や工業廃水は、完全に処理された上でガンジス川に流れ込むようになるという。
ガンジス川は、インド経済の鍵であり、全人口の43%に飲料水やかんがい用水を供給している。NGRBAは、2009年2月20付けの官報に掲載された通達によって設置されることとなった新たな機関であり、その目的は、ガンジス川の汚染を効果的に低減し、ガンジス川の環境を保全することである。NGRMAは、同プロジェクトの第一フェーズ実施のため、世界銀行に10億ドルの融資を申請している。世界銀行は、すでに同プロジェクトの準備のために300万ドルの融資を承認していた。
ガンジス川流域庁の設置に先駆けて、同国では、1985年4月に、ガンジス川浄化のために“ガンジス川アクションプラン”が策定されていた。同アクションプランには90億ルピー(約175億円)が投入されたが、その結果は散々なものであった。そのため、ガンジス川浄化に向けて総合的に対処すべく、1986年環境保護法の下、NGRBAが設立されたのである。NGRBAは、同プロジェクトに関心を持つ企業10社に対し、ガンジス川流域管理計画を提出するよう求めている。
また、上述のガンジス川浄化プロジェクトに関連して、今後5年間に渡って下水処理施設を運営、管理するため、環境森林省は財政委員会に132億ルピー(約255億円)の特別予算を申請している。同予算が認められれば、同プロジェクトの実施前に下水処理施設の機能が改善することが期待される。