ベトナムのHung Yen省におけるPho Noi Aという工業団地では、その面積約70%以上でプロジェクトが完成し、活動が実施されたが、廃水処理の設置が軽視されたままとなっている。そこで事業者は廃水を公共の施設で処理できないまま、依然廃水を垂れ流し環境汚染を引き起こしている状況にある。
同工業団地は面積390ヘクタールを有し、Hoa Phat開発・建設株式会社(現在はPho Noi A工業団地インフラ開発管理会社)により管理されている。同工業団地の集中廃水処理システムは2008年に建設され、処理容量は3000 立方メートル/日である。しかし、資源環境省の第744号決議によると、廃水処理システムは実際の需要に応じるためには、10,200立方メートル/日の処理容量が必要であると規定されており、現状は処理容量が大きく不足している。
Hung Yen省の環境保護庁によれば、このように処理容量が基準を満たしていないので、Pho Noi A工業団地インフラ開発管理会社は環境に廃水を排出する許可手続きをまだ実施できないでいる。従って、許可が発給されていないままの現在の廃水排出は違法と見なされる。実際、110ヘクタールに存在する29の企業は、集中廃水処理施設に接続できないため、個別に処理してから、適正に処理されないまま直接環境に排出している。こうした処理をしている典型的な企業として、Alphanam株式会社やPulppy Corelexベトナム紙株式会社が挙げられるという。特に、Taeyang有限会社の場合は、自分の工場の庭で廃棄物を燃やすことにしたという。
上記の問題に加え、Pho Noi A工業団地インフラ開発管理会社は環境汚染規制を十分に遵守しておらず、生活固形廃棄物や工業・有害廃棄物の管理が適正に行われてないことが判明した。実際、こうした不適切な管理により同工業団地の廃水が河川に深刻な汚染を引き起こす主因になっている。その中でもっとも悪影響を受けているのはBan川とBac Hung Hai川である。資源環境省の検査によれば、この二つの川の水質は灌漑用水の基準に達さないことが分かった。それらのBOD及びCODの数値はベトナムの国家基準を超えていたという。その結果、住民地区の水源の有害化学物質量が大きく増加し、基準の2倍~6倍までになった。周辺の数十の河川と湖は死んだ状態になり悪臭を放ち、魚や蝦が死んで水面に浮かんで、植物も枯れてしまった。さらに、ガン村と言われる村が増え、百人がガンで死亡した。
Hung Yen省におけるPho Noi A工業団地だけでなく、同省のVan Lam郡、My Hao郡およびYen Mi郡にそれぞれ属するPho Noi B工業団地、Nhu Quynh工業団地及びMinh Duc工業団地でも、数百に及ぶ企業が自由に廃水を排出しているのが実情である。従って、汚染を引き起こして、住民地区の環境にも影響を与えている。したがって、こんな企業らが日増しに増加すれば、世論はますます厳しくなる。それにしても、こんなに深刻な状況を避けるための対策が規制当局によってまだ見出されていないのが現実である。