2030年までにインドの地下帯水層の60%が危機的状況に――世界銀行報告書

インド水資源省のShri Pawan Kumar Bansal大臣は、2010年3月5日、同国の地下水事情に関する報告書“Deep Wells and Prudence : Towards Pragmatic Action for Addressing Groundwater Overexploitation in India”を発表した。世界銀行が作成した同報告書によると、インドは世界最大の地下水利用国であり、その使用量は、年間230km3に達する。この値は、世界の全地下水使用量の4分の1以上に当たり、現在の状況が続けば、同国の地下帯水層の60%は今後20年間で危機的な状況に陥るとのことである。2004年の調査では、29%の帯水層が、“やや危機的(semi-critical)”あるいは“危機的(critical)”あるいは“過剰採取(overexploited)”の状態にあることが分かっており、同国では、早急な地下水保全対策が求められている。

上述の報告書は、“世界銀行のインドの地下水管理のための研究および技術援助イニシアチブ(World Bank Study and Technical Assistance Initiative on Groundwater Management in India”の成果である。同報告書によると、貧困の緩和や経済成長のために、同国において、地下水は非常に重要である。かんがい農業の60%以上は地下水に依存しており、また地方や田舎の水供給も地下水に依るところが大きいという。Shri Bansal大臣は、「水資源管理は、インドにとって重要な課題になる。解決のためにはステークホルダーが協力して取り組むことが重要である」と語っている。

インドの憲法の下では、州政府が、地下水の利用を監督する権限を持つ。一方、中央政府は地下水資源管理のための総合的な計画を策定する。中央政府は、州政府や連邦直轄地域(Union Territory)が地下水規制を制定する際の見本となるよう、1970年にモデル法案を策定している。現在、Andhra Pradesh、Goa、Tamil Nadu、Lakshadweep、Kerala、Pondicherry、West Bengal、Himachal Pradesh、Bihar、Chandigarh、Dadra and Nagar Haveliの11の州および連邦直轄地域では、地下水に関する規制が制定されている。その他の18の州および連邦直轄地域では、現在、規制の制定に向けた取り組みが進められている。

報告書“Deep Wells and Prudence : Towards Pragmatic Action for Addressing Groundwater Overexploitation in India”は、以下のURLよりダウンロードできる。
http://www.apfamgs.org/upload/PDF/world_bank_rep.pdf